ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『はみだし刑事情熱系』シリーズ'96~'04

2019-03-31 12:00:11 | 刑事ドラマ HISTORY








 
1996年から2004年にかけて『はぐれ刑事純情派』『相棒』等のシリーズと交互に放映され、8シーズン(全165話)続いた人気ドラマです。制作はテレビ朝日&東映。

テレ朝系列・水曜夜9時枠の番組中、私が一番よく観てたのが、この『はみだし刑事情熱系』(通称=はみデカ)です。理由はやっぱり、主演が柴田恭兵さんだった事が何より大きいかと思います。

単純に俳優として好きなだけじゃなく、恭兵さんが主役となればアクティブな番組にならない筈が無いし、ユーモアも盛り込まれるに決まってるから。実際、観たらその通りでした。

既に刑事ドラマもビデオ撮影の時代になってるのがホント残念だったけど、この『はみデカ』には昭和のアクション系ドラマのテイストが色濃く残ってる事も、私にとっては大きな魅力でした。

もっとストレートに言えば、かなり『太陽にほえろ!』に近い内容だったんですね。タイトルに『情熱』とあるように、世間からダサいと言われて久しい「はみだし刑事達の熱血」を、てらうことなく真っ直ぐに描いたドラマだったんです。

格闘や銃撃戦もふんだんに盛り込まれ、他の番組が「リアリティ第一」へと流れて行く中、頑なに娯楽アクションドラマのスピリットを守り続けてくれた番組でもありました。(使用拳銃がコルト・ローマン旧タイプなのがまた素晴らしい!)

更に、刑事のプライベートを半ば強引に事件と関連づけちゃう『太陽~』的な作劇を、ご本家以上に徹底させてたのも『はみデカ』の特徴でした。

例えば、刑事が私用で銀行に立ち寄れば、必ず強盗が押し入って来るw 刑事が休暇を取って旅行に行けば、必ず指名手配犯がそこに逃げて来るw 刑事が異性に恋をすれば、必ずその人は事件に巻き込まれるし、だいたい犯人と繋がってるか、その人自身が犯人だったりするw、といった具合。

事件そのものよりも、事件によって傷つき葛藤する刑事達の、心情と成長を描く為の作劇なんですよね。もはや世間では「古臭い」と思われてた手法です。

1986年にスタートした『あぶない刑事』辺りから、刑事の私生活は一切描かないのがトレンディーとされ、それがすっかり主流になってたんだけど、あえて『はみデカ』は『太陽~』が築いたスタンダードを貫いてくれました。

これを下手な役者さんがやると陳腐になっちゃうんだけど、そこはさすがのテレ朝水曜夜9時枠で、実力派の役者さんが揃ってました。

「警視庁特別広域捜査隊」のメンバーとして、まず課長の根岸玲子に扮するのが、風吹ジュン。この人が実は、恭兵さん扮する高見兵吾の、離婚した元妻なんですよね。つまり兵吾は、別れた嫁さんの部下になっちゃった。

堅実にエリートコースを歩む玲子と、組織のしがらみなど無視して突っ走る兵吾。そんな元夫婦が衝突しながら事件を捜査する設定がユニークだし、それを演じるのが恭兵さんと風吹さんですから、そりゃ面白くならないワケがない。

しかも2人の間には、みゆきという娘がいるんですね。まだ幼い頃に2人が別れたもんだから、みゆきは父親の顔を知らないワケです。

兵吾のことを「お母さんの部下」としか認識してないみゆきが、実の父親を「兵吾くん」って呼んで、親友みたいに接する不思議な関係がまた可笑しかったです。

兵吾がいつ、自分が父親である事をみゆきに告白するのか?っていうサイドストーリーが、事件の内容よりもスリリングだった気がします。「今日こそは言うぞ!」→「ああ、やっぱり今日も言えなかった……」のパターンで5年ぐらい引っ張ってましたよねw

シーズン1から5までみゆきを演じたのが、後に六代目・中村勘九郎さんと結婚する事になる、前田 愛。ロリータフェイスながら、しっかりとした芝居をする人でした。(シーズン6以降は木内晶子にバトンタッチ)

そして、兵吾とは対照的にクールかつ優秀な相棒=西崎刑事に風間トオル、鑑識係出身の温厚なベテラン刑事=杉さんに平泉 成、元敏腕刑事の庶務係=菊ちゃんに樹木希林と、まさに実力派揃いのレギュラー陣。

さらに黒谷友香、梅垣義明、中山 忍、甲本雅裕、来栖あつこ、伊藤かずえetcといった人達が、歴代のレギュラー刑事を務められました。初期には愛川欽也さんが本部長、晩期には柴田理恵さんが監察医、中村嘉葎雄さんが兵吾の父親として出演されてます。

最後に、2019年現在もなお続くテレ朝水曜夜9時枠の刑事ドラマを列挙しておきます。前身は水曜夜10時→木曜夜9時枠で10年間放映されてた『特捜最前線』(主演・二谷英明)、更にその前身は『特別機動捜査隊』と云われてます。

『大都会25時』(小野寺昭、山下真司)→『ベイシティ刑事』(藤 竜也、世良公則)→『はぐれ刑事純情派』(藤田まこと)→『さすらい刑事旅情編』(宇津井健)→『風の刑事・東京発!』(柴田恭兵)→『はみだし刑事情熱系』(柴田恭兵、風吹ジュン)→『相棒』(水谷 豊)→『刑事部屋/六本木おかしな捜査班』(柴田恭兵、寺尾 聰)→『警視庁捜査一課9係』(渡瀬恒彦、井ノ原快彦)→『PS-羅生門-』(木村佳乃、舘ひろし)→『警視庁捜査ファイル/さくら署の刑事たち』(高島礼子、とよた真帆)→『ゴンゾウ/伝説の刑事』(内野聖陽)→『臨場』(内野聖陽)→『遺留捜査』(上川隆也)→『Answer/警視庁検証捜査官』(観月ありさ)→『TEAM/警視庁特別犯罪捜査本部』(小澤征悦)→『刑事7人』(東山紀之、吉田鋼太郎)→『特捜9』(井ノ原快彦、寺尾 聰)。
 
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『刑事追う!』1996

2019-03-31 00:00:07 | 刑事ドラマ HISTORY






 
1996年の4月から9月まで、テレビ東京系列の月曜夜9時枠で全25話が放映された、テレビ東京&東映の制作による刑事ドラマ。

役所広司&布施 博のダブル主演で、演出に工藤栄一、降旗康男、佐藤純彌、桝田利雄、長谷部安春、和泉聖治、澤井信一郎、出目昌伸、村川透etc…と、そうそうたる顔ぶれが揃い、OP/EDのタイトルバック(そこだけフィルム撮影)を市川崑監督が撮られて話題になりました。

それだけに内容も従来の刑事ドラマとは一線を画し、主役の刑事2人は「バディ」じゃなくそれぞれ違う部署に所属し、片方しか登場しない回も複数あり、当時テレビ大阪で観てた私は大いに戸惑いましたw

それは今思えば売れっ子2人のスケジュールを長期間確保する(掛け持ち出演を可能にする)為の苦肉策だったのかも知れないけど、当時は「さすが一流監督を揃えた番組は一味違うなあ」なんてw、妙に感心したのを憶えてます。

ただ、最初の3~4話しか観た記憶が無いことを思えば、決して私好みの内容とは言えなかったみたいです。

暗くて後味の悪いストーリーが多く、刑事のみならず容疑者や目撃者など、事件関係者1人1人の心情を丁寧に描くというコンセプトが、当時まだ若かった=人間ドラマより格闘や銃撃戦が見たい年頃だった私には渋すぎたんだろうと思います。大人になった今、あらためて観れば……やっぱり同じかも知れないけれどw

『太陽にほえろ!』や『あぶない刑事』の焼き直しみたいな企画なら、あんな一流どころの監督たちが参加するワケがなく、我々にとって心地好いお馴染みの作劇はあえて避けてたんでしょう。

とはいえ、監督によって作風は違った筈で、中には村川透さんみたいにアクションがお好きな監督もおられますから、全話通して観れば自分好みのエピソードも見つかるかも知れません。

役所広司さん扮する沢木警部補が所属する警視庁刑事部・捜査共助課の同僚刑事に角田英介、野村祐人、山口粧太etc、布施博さん扮する馬島警部が所属する捜査一課第一係の係長に大杉 漣、刑事に石倉三郎etc、検視官に井川比佐志、沢木が通うスナックのママに原田美枝子、馬島の妻に渡辺典子と、共演陣も豪華です。

なぜか2019年現在に至るもDVD化される気配が無く、VHSのソフトも第1話(2時間スペシャル)しか発売されなかったみたいで、再見するすべがありません。いろんな番組で刑事を演じられた布施博さんはともかく、役所広司さんの刑事ドラマなんて貴重ですから、是非とも商品化して頂きたい作品の1つです。
 
コメント (3)
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