ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『3年A組/今から、皆さんは人質です』最終回

2019-03-12 12:20:06 | TVドラマ全般





 
『3年A組/今から、皆さんは人質です』に思いのほかハートを揺さぶられましたので、これまで日記カテゴリーに書いた関連記事の再録に最終回の感想を加筆する形で、まとめ記事としてアップさせて頂きます。

セクシー画像は3年A組生徒の上白石萌歌さん、永野芽郁さん、福原 遥さん、今田美桜さんです。


☆2019年冬の連ドラ

今シーズンの連ドラも全体的にパッとしません。私がハマりそうなのはドラマ10『トクサツガガガ』ぐらいです。

先にレビューした刑事ドラマの新作3本『トレース/科捜研の男』『刑事ゼロ』『メゾン・ド・ポリス』はいずれも第2話の途中で視聴打ち切りとなりました。

結局やってることはどれも似たような謎解きゲームで、それを飽きずに見続けるにはキャラクターの魅力が絶対必要不可欠なんだけど、3作共それが全く足りてなくて、役者さんの力量に依存し過ぎてます。

今シーズンは弁護士ドラマも3本あって、竹内結子さんの『スキャンダル専門弁護士/QUEEN』は最初リーガル版『ミッション:インポッシブル』みたいで面白そうと思ったのに、やっぱりキャラに魅力がなく第2話の途中で脱落。

常盤貴子さんの『グッドワイフ』は手堅い作りで悪くないけど「日曜劇場」ゆえに先が見えて、興味が持続せず初回しか観てません。坂口健太郎くんの『イノセンス/冤罪弁護士』もタイトルとキャスティングだけで中身が想像できてしまい、録画した初回も観ずじまい。

弁護士ドラマも結局は謎解きゲームのバリエーションですから、よっぽど工夫してくれないと観る気になりません。謎解き、謎解き、猫も杓子もひたすら謎解き。本当にもうウンザリです。

その他も軒並みパッとしない中、杉咲花ちゃんの『ハケン占い師アタル』と菅田将暉くんの『3年A組/今から、皆さんは人質です』の2本だけは「どんなんかな?」っていう興味を引かれました。で、それぞれの初回を観て、面白い共通点があることに気づいたんですよね。

前者『ハケン占い師アタル』は問題山積のイベント運営会社に派遣されたバイト社員のアタルが、実は人の心が読めちゃうスーパー占い師で、社員1人1人が抱える心の問題を解決していき……っていう、まるで『家政婦のミタ』と『純と愛』をミックスさせたような内容。それもその筈、これは遊川和彦さんが脚本のみならず、遂に演出まで手掛けられた入魂の一作なんですね。

だから演出家のフィルターが入らないぶん遊川さんのメッセージがストレートに伝わってくるんだけど、それが「自分自身を愛しなさい」だったり「自分にしか出来ないことを見つけなさい」だったりと、ひねくれた創り方をする人に限って言ってることは至極マトモなんですよねw このテの人たちはそれを自覚してるから、照れ隠しにひねくれちゃうんだろうと思います。

アタルがやってる事はセラピーそのもので、彼女はハケン占い師というより派遣カウンセラー。ただ、そのカウンセリングの仕方がやたら荒っぽく、口汚いのが現代風なのかも知れません。

今の日本において、もはや正攻法は通用しない。圧倒的なカリスマが力でねじ伏さないと、誰も聞く耳を持たない。そんな現実を、もっと過激な方法で示したのが後者『3年A組/今から、皆さんは人質です』。

こちらは学級崩壊寸前の高校のクラスの、菅田将暉くん扮する担任教師が爆弾と拳銃で武装し、生徒全員を人質にとって立て籠るというぶっ飛んだお話。

ストーリーの縦軸は女子生徒(上白石萌歌)を自殺に追い込んだ犯人を探るミステリーなんだけど、その過程で菅田先生が生徒たちに(毎回1人ずつ)人間としての在り方を説教していくんですよねw 言ってる内容はスーパー占い師と同じで、至極マトモな道徳教育だったりする。

つまり、やってることは過激でも本質は『金八先生』であり『飛び出せ青春!』であり『スクール☆ウォーズ』なんです。

だけど世の中を舐めきった今のガキンチョどもに正攻法で説教しても聞きゃあしないし、暴力も絶対タブーとなれば、もう我が身を犠牲にしてテロでも犯すしかないっていう、めちゃくちゃ差し迫った話ですよ。

上司や教師の言うことなんか何も聞かないヤツらも、占い師やテロリストの言うことなら辛うじて聞いてくれる。つまり、もはや会社や学校というシステムは機能を失い、とっくに崩壊してますよっていう破滅と絶望のメッセージ。大いに共感しますw

私が作者なら、菅田先生には3年A組の生徒全員を道連れに自爆してもらいますけど、現在のテレビ業界(のクリエイティビティーも)崩壊しちゃってますから、どうせ最後は無難なハートウォーミングに収まるんだろうと思います。実際、殺した筈の生徒数人が実は生きてましたっていう、腑抜けたオチが早くもついちゃってますからね。それをもっと先まで伏せておく勇気すら無いワケです。

だからどちらもハマりはしないけど、単なるゲームではなく創り手のメッセージが感じられる点で見所ありますから、この2作は『トクサツガガガ』と併せて今後も観ていこうと思ってます。

あとは朝ドラ『まんぷく』を変わらず毎日観てるぐらいです。いよいよ即席ラーメン開発の章に入ってワクワクしてます。私がこの世で一番愛してる食べ物がインスタントラーメンなのですw

大河ドラマ『いだてん』は、相変わらずのクドカン節にのっけからゲップが出そうで、終始「ながら見」になりそうです。大河でもスタンスを変えないクドカンさんは立派だと思うけど、好き嫌いだけはどうしょうもありません。そもそも、あんな滑舌の悪い人(落語家役の大御所)が語り部になってる時点で「はあ?」って思っちゃう。

今季はまぁ、そんなところです。(乳首)


☆Let's think!!

『3年A組/今から、皆さんは人質です』も第6話まで進み、創り手のメッセージが明確に見えて来ました。

上白石萌歌ちゃんを自殺に追いやった犯人が教師たちの中にいることが判って、一人の女子生徒が恨みを持つ先生を名指しで「犯人は○○先生に違いない」っていうメッセージ動画をネットに拡散させようとした行為に対して、菅田将暉先生はこれまでで最も激しい怒りを表しました。

生徒全員を人質に取ってこれまで6日間、さんざん考える機会を与えて来たのに、そして自分は人生の全てを賭けて教えてるつもりなのに、まだ「Let's think」の意味が解らんのか?と。

何の証拠も無いのに誰かを犯人扱いしてネットでぶちまけて、それが一体どんな結果を招くか、お前らはまだ考えようともしないのか?と。クラスメイトが自殺しただけじゃ足りないのか?と。

書き込む前に、動画をアップする前に、まずは深く考えろよと。自分の言葉と行動にもっと責任を持てよと。知りませんでしたで済まされる年齢じゃないんだぞと。

昨年、NHKで放映された単発ドラマ『フェイクニュース』も、ネット民たちに対して「まずは落ち着こうよ」っていうメッセージを発してました。それとやはりNHKで放映された土曜ドラマ『炎上弁護士』は録画したまま未見だけど、たぶん同じようなテーマだろうと思います。

あまりにも浅はかで無責任なネット民たち。そして集団心理の恐ろしさ。我々一般人以上に、テレビ業界の人たちは恐怖と危機感を抱いておられるのかも知れません。

過去の記事にも書きましたが、私自身、大好きなTVドラマのファンサイトの掲示板で、その時期よく出没してた粘着質な「荒し」が「お前だろ!」と、何の根拠もなく濡れ衣を着せられ、集中砲火を浴びて一生もんのトラウマを植え付けられた苦い経験があります。

自分が疑われたのも無論ショックだけど、同じ作品を愛する仲間(である筈の人間たち)にそんな仕打ちを受けた事実こそが衝撃でした。オアシスを求めて参加した掲示板が思いがけず最悪のインフェルノだった。戦隊に加えてもらおうと思って門を叩いたら、基地の中は怪人だらけだったワケです。

連中の目的は私を攻撃し、おちょくってストレス発散する事であり、本当に私がその「荒し」なのかどうか、真実がどうなのかはどうでも良かったんでしょう。何となくイジメてやりたくなる要素が私にあっただけの話です。

だから、連中はもうとっくに忘れてる事でしょう。やられた側は一生引きずるような心の傷を負っても、やった側はケロッとしてるもんです。連中にとってはただの遊びですからね。だからタチが悪い。だから許せない。本当に、この恨みだけは一生忘れません。

某巨大掲示板の、同じドラマについて語り合うスレッドをたまに覗いても、醜い罵り合いが延々と繰り返されてて辟易します。同じ作品を愛する者どうしがなんで憎しみ合わなきゃならんのか? そんな連中には元より作品愛なんか無いんでしょうけど。

そのドラマをリアルタイムで観てた人(つまり我々世代)はもう、かなりええトシのおっさん・おばさんですよ。CS放送やビデオで観た若い人も中にはいるかも知れないけど、まぁごく一部でしょう。

『3年A組~』は明らかに若い視聴者をターゲットに創られてるけど、それより先に「Think」させなきゃいけないのは我々世代の方です。そんな大人どもが生んで育てた子供たちですから、そりゃあ爆弾や拳銃でも使って思い知らせるしか方法が無いって話です。

そんなワケで、私はこのドラマに共感してます。余計なオチャラケが多い(シリアスな部分とのバランスが取れてない)こと、昨今のドラマらしくゲーム的な要素も強いこと等、気になる点は色々あるんだけど、それもこれも若い世代に観てもらう(そしてメッセージを伝える)為の工夫だと思えば納得できます。

民放ドラマでもう1本、注目しようと思ってた『ハケン占い師アタル』は第2話までで視聴が止まってます。興味はあるんだけどハートを掴まれるところまでは決していかない、それが私にとっての遊川ドラマですね。

そして今季ナンバーワンは早くも『トクサツガガガ』に決定です。見事にハートを掴まれました。

創り手たちが心底から楽しんでるのが伝わって来るし、その遊び心がストーリーと完璧にシンクロしてるんですよね。内輪ウケじゃなくちゃんとエンターテイメントになってる。

いつも気を抜いて観てるつもりなのに、気がつけば没頭させられてるという、ちょっと珍しい種類のドラマです。オタク要素をお持ちの方はもちろん必見だし、そうでない方もこのユニークさはお試しの価値アリです。


☆最終回

2019年冬シーズンの連ドラで最後まで観たのは『トクサツガガガ』と『3年A組/今から、皆さんは人質です』の2本だけでした。

両者とも、とてもストレートなメッセージを我々に伝えてくれた作品で、それを堅苦しくならず、工夫を凝らしてエンターテイメントに仕上げた点でも共通してたように思います。

どうやら私が惹かれるドラマの条件はそこにあるみたいで、毎週1時間という時間をわざわざ割いて観るからには、何らかの主張を、出来れば簡潔に聞かせて欲しい。

私にとって作品鑑賞は作者との対話だと思ってるので、難解だったり回りくどかったり、ましてや居酒屋の呑み会みたいに何のテーマも無くグダグダやられたら付き合いきれないんですね。だからグドカン作品が嫌いなワケです。

昨今『3年A組~』ほど明確にメッセージをぶつけてくれた連ドラは珍しいと思います。その内容は以前の記事(『Let's think!!』)に書いた通りなので今回は割愛します。

ネット民なんて皆「自分だけは例外」だと思い込んでる輩ばかりでしょうから、大半の当事者には何も響かなかったかも知れないけど、それをも承知の上で「送信ボタンをクリックする前に考え直してくれる人が、一人でも増えてくれたら」と菅田将暉先生は訴えてました。それこそ真正面からカメラ(我々)に向かって。

その口調がネット民たちと同じレベルの罵詈雑言になっちゃってるのはどうかと思ったけど、それほど冷静でいられない、心底からの心の叫びなんだってことを表してたんだと思います。

現実社会は何も変わらず破滅だけど、1人だけ罵詈雑言の書き込みを踏みとどまる若いニート君の姿を見せたラストシーンは清々しかったです。

古いドラマのファンが集う掲示板で罵り合ったり、誰かに「荒し」の濡れ衣を着せて袋叩きするような連中は、もっともっと上の世代のいい歳した大人なんだけど、そんな連中にはもう何を言っても無駄で、望みは若い世代に託すしかないって事かも知れません。

99.9%は無駄でも、0.1%の変革に賭けたこのドラマには気骨を感じました。あの手この手で若い視聴者の興味を引っ張る作劇を私はふだん否定しがちだけど、本作に限っては拍手を贈りたいと思います。
 
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「関根恵子 in 太陽にほえろ!'72~'73」

2019-03-12 00:00:28 | 刑事ドラマ'70年代









 
我々男性視聴者にとって七曲署の居心地良さは、鉄壁のチームワークや頼り甲斐ある上司の存在だけじゃなく、同僚以上恋人未満の、友達というよりクラスメイトみたいな女性キャラクターの存在も大きかったと思います。

特に1年目のマカロニ(萩原健一)とシンコ(関根恵子=高橋惠子)の、喧嘩するほど仲がいい、まるで中学生カップルみたいなやり取りには、なんだか懐かしさも感じたりします。

シンコの方が何かとマカロニを気にかけ、世話を焼き、先輩刑事たちにマカロニがからかわれると「そんな言い方しないでよ」なんて庇ってあげたりするんだけど、当のマカロニは「余計なことすんなよ」とか言って意地を張る。ほんと中学生みたいで微笑ましいw

また、シンコの父親=宗吉(ハナ肇)が経営する小料理屋「宗吉」が刑事たちの溜まり場で、独り暮らしのマカロニがたまに泊まることもあり、シンコが布団を敷いてくれたりするんですよね。職場では絶対あり得ないパジャマ姿まで披露してくれる。飄々とした宗吉と生真面目なシンコのコミカルな親子喧嘩もまた絶品でした。

マカロニ殉職後、2年目からハナ肇さんがレギュラーを抜けて「宗吉」のシーンは(ジーパン&シンコ最終回以外は)無くなりますから、この何とも心地よい世界は1年目限定。

シンコはマカロニの後釜であるジーパン(松田優作)とやがて恋に落ちるワケだけど、もしマカロニが死ななかったらどうなってたか?

たまにデートしたり、マカロニが美女に鼻の下を伸ばすとシンコがヤキモチ焼いたりする場面もありましたから、やっぱり結ばれることになったかも知れません。

数年後にショーケンさんと関根さんは映画『魔性の夏』で夫婦を演じるんだけど、原作はあの「四谷怪談」すなわち夫が妻を虐待しちゃうお話ですから、『太陽~』ファンにとってちょっとツラい映画だったりもします。

それにしても、当時の関根さんは17~18歳。初登場時(第1話)の頃はさすがにあどけないけど、この1年でどんどんフェロモンを増し、マカロニより大人っぽいジーパンと絡むことでますますオトナっぽく、女らしくなっていきます。

言わば女性が最も変化を遂げる時期を七曲署で過ごされたワケで、そういう意味でも『太陽にほえろ!』は貴重なフィルム、文化遺産と言ってもぜんぜん過言じゃありません。
 
コメント (2)
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