能の舞台で、客席から見て正面に当たる場所には、どんな木が描かれているでしょうか?
・梅
・紅葉
・桜
・松
→ 松
能の舞台は4本の太い柱に囲まれており、三方を開け放して屋根を設けています。正面奥のみ板が張られていてこの板を「鏡板」といい、ここには老松が描かれています。
写真は、国立能楽堂の能舞台です。
http://www.ntj.jac.go.jp/nou/facilities/outline.html
能の入門は、ここを参照:
http://www.the-noh.com/jp/sekai/stage.html
鏡板:
鏡板に描かれた松は、能舞台の永遠の背景としてある「老松(おいまつ)」です。これは、もともと、奈良の春日大社の「影向(ようごう)の松」と呼ばれていた実在する松を模したものが始まりといわれています。この背景は、演目によって変わることがなく、どのような曲であろうとも、松の背景で演じられます。
なお、古い記事ではあるが、「背景の絵に竹がない」と発言している。
<記事抜粋>
能が専門の重田みち・立命館大研究員は「普通の能舞台と違い、背景の絵に竹がない。能の歴史を研究するうえでも興味深い」と話す。
竹がない発言:
1.普通の能舞台にある絵は、竹であるが、この能舞台には、その竹が描かれていない。
2.普通の能舞台にある絵は、松と竹であるが、この能舞台には、その竹が描かれていない。
3.普通の能舞台にある絵は、松であるが、研究員が間違えて竹と言った
4.普通の能舞台にある絵は、松であり、この研究員も松と言ったが、朝日新聞の記者が間違えて、竹と原稿を作成してしまった。編集長もそれに気づかずに掲載した。
その朝日新聞の記事:
http://www.asahi.com/culture/entertainment/news/OSK200509020035.html
答えは、ここに書かれていた。
http://www.nohgaku.net/2009/08/post_d32e.html
さて、なぜ松と横に竹が描かれているのか!?
これは江戸時代において松と竹がめでたい植物とされた事から完全に固定化されたようです。竹は根で、松は松ヤニで他の木を枯らしてしまって自分たちだけが群生する。この姿が封建社会の武士達にとって一番望ましい姿と映ったことが理由だそうです。
「国宝能舞台のデジタル復元とその応用」に北能舞台の考察が詳しく書かれているが、やはり、背景は、松しか見えない。
結論は、どうやら2番のような気がする。
研究員の発言も、朝日新聞の記者の原稿も正しかったようである。
今度、能舞台を見た時は、この背景の絵を良く観察します。
また、西本願寺も機会を見て、参拝し、観察、報告します。