ロシアの文豪トルストイの長編小説で、ナターシャというヒロインが登場する作品といえば何でしょうか?
・生ける屍
・復活
・アンナ・カレーニナ
・戦争と平和
→ 戦争と平和
1865年から69年にかけて書かれた歴史小説で、1812年に起こったナポレオンによるロシア侵攻を題材に、その前後のロシア社会を「戦争」と「平和」の両面から描いています。
あらすじ:
19世紀前半のナポレオンによるロシア遠征とその失敗、アウステルリッツの戦いやボロディノの戦いなどの歴史的背景を精緻に描写しながら、1805年から1813年にかけてあるロシア貴族の3つの一族の興亡をピエール・ベズーホフとナターシャの恋と新しい時代への目覚めを点描しながら綴った群像小説である。また登場人物の一人「ピエール・ベズーホフ」が、著者の分身と見られ、彼の没落していくロシア貴族から、大地の上で強く生き続けるロシアの農民の生き様への傾倒へと続く魂の遍歴は、著者の心の動きの反映とも言われる。
なお、執筆された当時のロシアでは、それまで一般的だった古ロシア語に代わり、新たに整備された現代的なロシア語文法が浸透していたが、トルストイを含む上流階級は教養として慣れ親しんだフランス語を日常的に使用しており、作中でも貴族達の会話にフランス語を交えたり、名前を「ピエール」とフランス風に呼ぶ(ロシア風ならピョートル)という、当時のロシア貴族に対するフランス文化の影響も描写している。
回答案について解説:
・生ける屍
いけ‐る‐しかばね【生ける×屍】の意味は、次のとおり。
[連語]肉体的に生きているだけで、精神的には死んだも同然の人。
生ける屍は、トルストイの戯曲:
あらすじ:
主人公のフョードル・プロタソフは、妻のリザは真の意味で自分を夫に選んだのではないと思い込み、悩み苦しんでいた。リザにとってよりよい相手、ヴィクトル・カレーニンがいたからだ。フョードルは自殺したかった。だがその勇気は持ち合わせていなかった。現在の生活から逃げ出し、最初に堕ちたのはジプシーの集団、それもジプシー歌手のマーシャとの性的関係に嵌ってしまう。マーシャの両親の拒絶に直面し、フョードルは再び同じように逃げ出すのである。再び、自殺したいと考えた。だが勇気に欠けていた。彼の堕落はさらにつづいた。
一方、妻のリザは、夫は死んでしまったものと考え、他の男性と結婚していた。フョードルが発見されたときには、リザは重婚罪を負い、夫の失踪を偽装したと告発されていた。フョードルは法廷に現れ、リザは夫である自分が生きていることを知ることなどできなかったことを証言する。リザは新しい結婚生活をあきらめるか、シベリアへ流刑になるべきだと、裁判官が宣告したとき、フョードルは自らを拳銃で撃ちぬいた。半狂乱になってリザは叫ぶ。自分がずっと愛していたのはフョードルだけだったのだと。
・復活
トルストイの長編小説:
あらすじ:
若い貴族ドミートリイ・イワーノヴィチ・ネフリュードフ公爵は殺人事件の裁判に陪審員として出廷するが、被告人の一人である若い女を見て驚く。彼女は、彼がかつて別れ際に100ルーブルを渡すという軽はずみな言動で弄んで捨てた、おじ夫婦の別荘の下女カチューシャその人だったのだ。彼女は彼の子供を産んだあと、そのために娼婦に身を落とし、ついに殺人に関わったのである。
カチューシャが殺意をもっていなかったことが明らかとなり、本来なら軽い刑罰で済むはずだったのだが、手違いでシベリアへの徒刑が宣告されてしまう。ネフリュードフはここで初めて罪の意識に目覚め、恩赦を求めて奔走し、ついには彼女とともに旅して彼女の更生に人生を捧げる決意をする。
・アンナ・カレーニナ
トルストイの長編小説:
あらすじ:
主な舞台は1870年代のロシア。
政府高官カレーニンの妻である美貌のアンナは、兄夫婦のいさかいを仲裁するためにやってきたモスクワで若い貴族の将校ヴロンスキーと出会い、ひかれあう。
地方の純朴な地主リョーヴィンは、アンナの兄嫁の妹キティに求婚するが、ヴロンスキーとの結婚を期待するキティに断られてしまう。失意のリョーヴィンは、領地に戻り、農地の経営改善に熱心に取り組む。ところが、キティは、ヴロンスキーに無視されて、それがきっかけで病気になってしまう。
アンナは夫と幼い一人息子の待つペテルブルクへ帰るが、ヴロンスキーはアンナを追う。二人の関係は急速に深まるが、それを知ったカレーニンは世間体を気にして離婚に応じない。
アンナはヴロンスキーの子供を出産後、重態となる。そこへ駆けつけたカレーニンは寛大な態度でアンナを許す。その様子を見たヴロンスキーはアンナを失うことに絶望してピストル自殺を図るが、未遂に終わる。その後ヴロンスキーは退役して、回復したアンナを連れて外国に出奔する。
リョーヴィンは病気の癒えたキティと結婚し、領地の農村で新婚生活を始める。そして兄を看取ったことをきっかけに人生の意義に悩むようになる。
帰国したアンナとヴロンスキーの二人は、不品行が知れ渡り、社交界から締め出され、やむなくヴロンスキーの領地に居を定めることになる。離婚の話は、狂信的な知人のカレーニンへの入れ知恵や、一人息子を奪われるというアンナの恐れなどの事情でなかなか進まない。自らの境遇に不満なアンナと領地の経営に熱中するようになったヴロンスキーとはしだいに気持ちがずれていき、アンナはヴロンスキーの愛情が他の女性に移ったのではないかとまで疑うようになる。ついに絶望したアンナは列車に身を投げる。生きる目的を見失ったヴロンスキーは、私費を投じて義勇軍を編成し、トルコとの戦争(露土戦争)に赴く。
一方、リョーヴィンは、キティとの間に子供をもうけ、領地で幸せな家庭を築き、人は他人や神のために生きるべきものだという思いに至る。