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百田尚樹の最初のヒット作とのことで読んでみました。
”海賊とよばれた男”を凌ぐエンタメ小説です。
ゼロ戦と呼ばれた戦闘機で神風特攻隊として戦死した男がいました。
男には妻と幼い娘がいました。
妻は再婚して夫と二人で娘を育てます。
その娘は成人して結婚し、長女と長男を産みます。
この物語は戦後60年経って、30歳になった、その孫娘が、ひょんなことから、戦死した祖父に興味を抱くところから始まります。
祖母からも殆ど話を聞いたことが無かったのです。余りにも戦死した祖父の情報が無さ過ぎるのです。
孫娘とその弟に、戦死した祖父のことを知っている人々を訪ねさせて、その思い出話をアップしていくことで、この小説は成り立っています。
構成もしっかりしているし、オチも意表をつかれるし、文句なく面白い作品です。
作者は、当然ながら太平洋戦争を綿密に調べ上げていて、日本軍の作戦失敗を次々と明らかにしていきます。
まあ、半分くらいは私でも耳にしたことがある作戦失敗ですが、百田尚樹はその失敗した理由について、持論を展開しています。
また、これも、彼の持論でしょうが、特攻隊の生き残り老人の口を借りて、新聞記者に対して、支那事変から5.15、2.26
真珠湾攻撃など、持続して国民の戦意を高揚させ、大本営発表をそのまま報道するだけの国賊ジャーナリストだったと非難します。
感動で涙がこぼれる部分が何度か出てきますので、涙をふいた直後のぼんやりとした目で読まねばならぬ状態を経験しました。