はせがわクリニック奮闘記

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宮下奈都・羊と鋼の森

2016年07月07日 | 読書


たった今、読み終わったのですが、久しぶりに小説を愉しむことが出来ました。

ジャンルとしてはヒーロー物でしょうか。
数年前に本屋大賞に選ばれた、” 舟を編む ” を思い出してしまいます。

主役は、森や羊牧場が近所にあるような、辺鄙な山村で育ちます。
聞き分けがよくおとなしい少年として、何に対してもこだわりを持たないフラットな性格を形成していきます。
その村では中学を卒業すると、町に出て、下宿しながら高校に通うのが恒例でした。
その高校2年のときに、学校のピアノの音色が調律師の手によって劇的に変化するのを聴撃します。(目撃をアレンジした私の造語です。)
ピアノの音色は、森の匂いを連想させたのです。
夜に近い危険な森の入り口を。
何一つこだわったことのなかった少年は、その瞬間に様変わりします。

調律師は少年にピアノの中身を説明します。
鋼のピアノ線を木のハンマーが叩くことを。
そしてハンマーの先には羊毛で作られたフェルトが貼り付けられていることを。

少年は故郷の森や羊牧場を思い出します。
その場で調律師に弟子入りを志願しますが、断られます。
その代わりに、調律師の養成学校を教えてもらいます。

以後、ひたすら調律の世界にどっぷりと、超人的に傾倒していくヒーローが誕生していきます。

舟を編むもそうだったのですが、この作品にも、悪人は一人も登場しません。
個人的な意見ですが、読後感の気持ちよさは保証されていると思います。

余談ですが、作品の中で、善という字も、美という字も、語源は羊なのだということが紹介されます。
最近、吉田羊という女優がブレイク中です。
オカシナ名前だなと思っていたのですが、これからは尊敬することにします。

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