明けましておめでとうございます。
年末の休診を利用して上記を読み終えました。
著者はバルセロナ医学大学の講師を努める心理学者クリストファー・ライアンと
バルセロナの病院で精神科の女医を努めるカルシダ・ジェタのカップルです。
図は地球人口の最近1万年の推移です。
それ以前の数十万年間は私たち新人類の地球人口は数千人あるいは数百人程度まで減少した時期もあったそうなのです。
長らく続いたその時代の人類は狩猟採集を続けていました。
数十人のグループを形成して、移動しながら狩猟採集生活を続けたのです。
アメリカの有名なアニメにフリントストーンズという作品があります。
アメリカ人はなんとなく原始時代から、現代の一夫一婦制があったように考えますが、両著者はそれを否定します。
そして、グループ内では複雑な複数の男性と複数の女性間でセックスが日常的に行われてきたはずだと主張するのです。
この本は、それを多角的に検証し、証明しようとするものです。
この本は私にとって非常に大切な作品となりました。
これまでの私は、現代こそが人類がた易く生きていける時代で、昔になればなるほど、生きていくことは困難であったように思っていました。
しかし、たとえて言うならば、1万年前に穀物の栽培を始めたことこそが人類の不幸の始まりであり、失楽園だったのかも知れないのです。
ジャレド・ダイアモンドは
農耕への転換を、「 カタストロフであり、人類はいまだにそこから回復していない。 」 と評している。
農耕革命の最大の敗者は人類の女性であった。
狩猟採集社会において占めていた中心的な、尊敬すべき役割を奪われ、
かわりに家の奴隷や家畜と同じように
男性にとっては獲得し守るべきもう一つの所有物に成り下がったのだ。
狩猟採集生活から農耕生活へと移行した時期に遡る、世界中のさまざまな地域から採集された遺骨を見ると、それらはすべて同じ物語を語っている。
すなわち飢餓の増大、ビタミン不足、発育不全、寿命の急激な縮小、暴力の増加などである。
褒めるべき理由はほとんどない。
面白い考え方としては、胎児はセックスをするたびに少しずつ完成していくというものです。
したがって、力の強い男の精子だけでは無く、頭の良い男や背の高い男の精子も入れた方が出来の良い赤ん坊が生まれてくると考えられたのです。
このことは、一人の赤ん坊に対して何人もの父親が存在することを意味します。
一夫一婦制とは違って、父親が急死した場合でも、他の父親の援助が期待できますので、赤ん坊が生き残る確率が高くなります。
父親は何人もいますが、母親は一人ですので、女性を中心とした家系が形成され、それこそ女性は太陽であったかも知れませんよね。
ちょっとボリュームがありすぎるのが難点ですが、この本は読んでおくべき作品だと思います。
さて、この作品中に読めない漢字が登場しました。久方ぶりのことです。
蒙を啓かれるです。
答えは次回アップします。
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