6つの作品を集めた短編集ですが、その内4編は文芸春秋に連載されましたので既読です。
列記すれば、ドライブ・マイ・カー、イエスタデイ、独立器官、木野 です。
残るは2編ですので、昨日、本屋で立ち読みしました。
シェラザードと、女のいない男たちです。
女のいない男たちは、村上春樹が得意とする幻想的な作品ですが、
女のいない男を、女を失った男と定義づけています。
つまり、誰もが、そうなる可能性を持っているということです。
この作品でもそうですが、作者は、失った後の方が、あるいは失って初めて、
女性を深く愛するという性質を持っているように思えます。
シェラザードは文字通り、アラビアンナイトのその作品を参考にしています。
アメリカの証人保護システムを連想させるような、"ハウス" と呼ばれるアパートに一人住む31歳の男が主人公です。
電話もパソコンも持たず、テレビも観ずに、外出することもありません。
週に何日かは担当の35歳の女性が食料などを持って部屋を訪れます。
その度にSEXをするのですが、その後で必ずその女性は長話を始めます。
その話が面白いので、男性は胸の内で彼女をシェラザードと呼びます。
幻想的な話、エロティックな話など多彩で、実に面白いストーリーでした。
ただ、この作品は女のいない男というジャンルからは逸脱しているようにも思えます。
私が若かったならば、理想的な、 "女がいる男”であるように思えるのですが.....
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