昨日は電気館で上記映画を観ました。
ウッディー・アレンが監督、脚本を手掛けた作品です。
昨年度のアカデミー賞で、脚本賞、主演女優賞、助演女優賞にノミネートされ、
ケイト・ブランシェットが主演女優賞をゲットしています。
これならば、まあ、ハズレは無かろうと考えて観に行ったのですが、大失敗でした。
お勧めとは言えない作品ですので、ネタバレでアップします。
こいつは現在と過去を行ったり来たりするような筋書なのですが、馬鹿馬鹿しいので、時系列で紹介します。
ソコソコ?の美貌とスタイルのジャスミンは大学生の時に、9歳年上でバツイチ子連れのハルと結婚します。
ハルはハンサムでやり手の投資コンサルタントでした。
違法スレスレ、あるいは違法とも言える手法で富を築き、ニューヨークの豪邸に住んで、豪華な別荘を所有します。
ジャスミンも社交界こそが、自分が最も力を発揮できる場であることを自覚し、充実した生活を楽しんでいます。
ある日、ジャスミンはハルが浮気をしていることを確信します。
そこで親友に相談するのですが、私としては、このシーンが最も気に入りました。
親友は、"あのフランスの小娘でしょ。知ってたわよ。"と簡単に答えます。
"どうして黙ってたの?"と問い詰められても、"他人のトラブルだから。"と平然としています。
さらには、"あなた以外はみんなが知っていたわ。"と諭します。
そして、これまでの浮気相手の名前を、4、5人、スラスラと並べます。
すべて、ジャスミンが親切に扱ってきた、友達や側近でした。
怒り狂ったジャスミンは帰宅したハルを罵りまくりますが、彼の反応は意外なものでした。
ハルは、 "今回は本気だ。フランスの小娘と一緒に住む。" と宣言して、家を出ていきます。
激高したジャスミンは電話でFBIに、夫のビジネス上の不正を告発します。
この結果、ハルは刑務所に入れられ、自殺してしまいます。
財産もすべて没収されたジャスミンはサンフランシスコに住む妹ジンジャーのもとに身を寄せます。
ジンジャーはバツイチで、子供二人を育てるために、スーパーで働いているのですが、
じつは、夫が偶然当たった懸賞金20万ドルを、ハルにだまし取られたことが離婚の原因になっていたのです。
それでもジンジャーは姉を責めません。
狭くてちらかった住居や新しい彼氏のがさつさを馬鹿にされても、仕方が無いと考えるような性格です。
画面はニューヨークの上流階級と、西海岸の労働者階級の落差を強調するような手法で切り替わっていきます。
労働者階級に埋もれての生活になじみたくないジャスミンは、あるパーティーで金持ちの男性と出会います。
そこで、勝負とばかりに、"外科医であった夫を心筋梗塞で亡くした。"とか、
"インテリアコーディネートの仕事で忙しい。" などの嘘を連発していきます。
最後は二人で婚約指輪を買いに入ろうとしていた店の前で、
ばったりと出くわしたジンジャーの別れた夫に、過去の出来事を罵倒されて嘘がばれてしまいます。
結局、ウッディー・アレンは何を言いたかったのでしょう?
上流階級の社交界では、オバカで非常識でもやっていけるが、そういうキャラは他では全く通用しないということでしょうか?
上流階級に対する皮肉かもしれません。
一応、この作品は悲劇なのでしょうが、ジャスミンに同情する観客は皆無でしょう。
では、本当のヒロインはジンジャーなのでしょうか?
ジンジャーも、無理やり姉に連れていかれたパーティーで、女房持ちの男にだまされて、すぐに寝るような尻軽です。
しかし、だまされたことに気づくと、すぐに、前の彼とよりを戻すという、したたかな面も持ち合わせています。
案外、ウッディー・アレンが言いたかったのは、この下町女のしたたかさと、上流階級の女性の脆さのコントラストであったのかもしれません。
無理やり、ウッディー・アレンの意図を推察して、あれこれと書き記しましたが
仮に、どれかが当たっていたとしても、しょーも無い作品であることに変わりはありません。