はせがわクリニック奮闘記

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新・堕落論

2012年01月30日 | 読書


先週読んだのですが、読後感はあまり良くありませんでした。
終戦後に、鬼畜米英からアメリカ様々へと豹変した日本人に対して坂口安吾がニヒルな”堕落論”を著しました。
天皇万歳が否定されて戸惑う日本人に、これが正しくて普通の状態なのだと発信したのです。
それを意識しながら、戦後60余年が経過した最近の日本人に対する新たな堕落論を石原慎太郎が遺言代わりに著した本です。
石原慎太郎は日本人の堕落の原因は敗戦後のアメリカの統治にあると断定しています。
ドイツが断固拒否した憲法作成と教育内容の作成をやすやすと受け入れた日本は、20万人が一瞬にして命を奪われた原爆記念碑に
 ”あやまちは繰り返しません”と書かされたのです。
たまたまの朝鮮特需で繁栄し成長する中で日本人はアメリカの妾のような立場に満足して過ごしてきた。
などと記されています。
まあ、妾には我欲(物欲、金銭欲、性欲)の充足以外には目標も理想も無いでしょうから
堕落しているとみなされてもしょうがないのかも知れません。
これは、以前に何かで見聞きした話ですが、ドイツ人は敗戦の日に 
”わかった、今回は負けた。しかし次こそは叩き潰してやる!”と、皆で誓い合ったそうです。

また、日本は核爆弾を製造、保有するべきだとも述べています。
核戦争反対を叫ぶだけでは平和は実現しない。
日本は2発の核ミサイルで壊滅状態になる。
壊滅状態となった日本のためにリスクを犯すほどアメリカは間抜けじゃない。
中国からの領海侵犯事件なども抗議するだけでは外交とは言えない。
核を持っていたならば発生しなかった事件かも知れない。などが理由のようです。

全体的に自己主張とエッセーが混在するような本で冗漫な読後感が残りました。
その中でチョットだけ記憶に残ったのは、IOCのロゲ会長の言葉です。
石原慎太郎が、現代の若者の堕落の原因をロゲに問いかけた答えは、”3つのスクリーン”でした。
つまり、テレビと携帯とパソコンです。

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