老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

246;「憐憫の情」ならぬ「三瓶の情」

2017-07-16 03:34:38 | 老いびとの聲
三瓶の情

花を活けてくれる
花瓶は
荒んだ人間の心を癒す

オシッコを容れてくれる
尿瓶は
病床で臥す人の泪も掬う

孤独な自分につきあってくれる
酒瓶は
誰も棲まぬ廃屋の故郷を想う



「憐憫の情」は、頂きたくない
「三瓶の情」は、拙者の勝手な造語である
花瓶 尿瓶 酒瓶
と3つの瓶がある
犬との散歩中に
浮かんだ言葉であった
何の関連性もない3つの瓶をまとめ
「三瓶の情」としてみた
一輪挿しの花瓶に

道端で見つけた折かかっていた野花を挿してみた
老いてきて
動かぬ生物に何故か心惹かれてきた
私は貧乏草と疎まれているハルジオンが何故か好き

入院し
手術や大腿骨の骨折など
予期もせぬ寝たきり状態になり
トイレで用足しをすることもできず
尿瓶に排尿する
ベッドから降りることもできず
寝たきり老人になったとき
尿意が有るうちは
紙おむつではなく尿瓶でしたいものだ
動けぬ寂しさ辛さは一輪挿しの花と同じかもしれぬ

飲み方で酒は
薬にもなるし毒にもなる
酒は人間の心を酔わせてくれる
酒は美味いか不味いか苦いかは
そのときの心模様によって変わってくる
酒は孤独な気持ちを癒してはくれない