老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

251 108歳の苦悩(2)

2017-07-23 08:35:34 | 老いの光影
108歳のお婆ちゃんと末孫との会話風景

108歳の苦悩  ~人間死ぬまで悩みは尽きぬ~  

次女(85歳)は
ショートを利用されている108歳になる母親のところへ面会に行った

5人姉妹のなかで
次女は経済的には一番恵まれていた
子どもたちも素直に育ち
社会のなかで立派に働いていた
ただ次女の性格は
心配性が強く
老いに入ってからは
閉じこもりになり
お金に対する被害妄想が強くなってきた
「知らない人たちがたくさん集まり 私を殺しにきた」

長男と5人姉妹は
超高齢の母親は
いつ亡くなってもおかしくない年齢なので
毎月亡き父親の月命日14日は長男宅に集まり
線香をあげ
それぞれ一品を持ち寄り食事を楽しんでいた
それだけ兄弟姉妹は仲が良かった
その次女がいま認知症になり
姉妹たちは大慌ててしている

次女は
顔の表情はきつくなり
ご飯も食べる気がしない、と呟いたとき
108歳の母親は
次女に向かい次女の肩に手を置き
「そんな弱きな気持ちでどうする、
食べたくなくても
ご飯を薬だと思って食べないと
元気にならないよ」と
力強い言葉で励ましていた

傍でその様子を見ていた
五女(末っ子)は
108歳になっても
親は我が子の様子がおかしいことに気づき
気を取り直し 生きなさいと言葉をかけていた
数分前の出来事を忘れていた親だったのに
いざというときは親なんだな、と思った
そう電話口で私に話してれた