老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

581;寒サニモ負ケズ

2017-12-03 16:07:49 | 老いの光影
寒サニモ負ケズ 

冬ガ来タ
夜明前ノ外気温ハヒトケタ
beagle・gennkiダケハ
元気ニ走リ回ッテイル

私ハ寒サデ体ハ縮コマリ
心ガ窮屈ニナルホド 背中ハ丸クナッテイタ

途中路上デ 脳卒中後遺症ノオジサンニ会ウ
右手ニ杖ヲ持チ 左足ニ短下肢装具ヲ着ケ
不自由ナ左足ヲ 懸命ニ動カシ歩イテイタ
寒サニモ負ケズ 頑張ッテイタ
朝ノ挨拶ヲ交ワシタ後 
ツイ”頑張ッテイマスネ”ト
声ヲカケテシマッタ
心ノナカデ 自分モ寒サニモ負ケズ頑張ラネバト
背筋ヲ伸バシタ 

580;不幸の分だけ幸せが来る

2017-12-03 15:10:13 | 読む 聞く 見る

 不幸の分だけ幸せが来る

浅田次郎著『霧笛荘夜話』(むてきそうやわ)角川文庫
「きりふえそう」と読んでしまいそうだが
「むてきそう」と読む。

港町にある古アパート「霧笛荘」は、
半地下の湿った部屋が1階に3部屋、2階に3部屋あり
トイレ、お風呂は共同使用
そのため安い家賃のため
わけわりの十人が住む

唯一部屋の窓から「海の見え居る部屋」に
自殺し損ねた27歳の女性 星野千秋が転がり込んだ。


「不幸の分だけの幸せは、ちゃんとあるものよ。」(24頁)

そうだよね。
不幸ばかりが続くこともあった。
なんで私だけがこうも不幸がやって来るのか。
凍えるような寒い冬の後には、必ず春がやって来る。
それと同じように
後で自殺した尾上眉子は、星野千秋に語りかける。
「不幸の分だけの幸せは、ちゃんとあるものよ。」
本当に素敵な言葉
いまは不幸であっても、不幸した分だけ、苦労した分だけの
幸せは必ずやって来る。

与えられた裕福な幸せが嫌で、何もかも捨て
霧笛荘に逃げてきた尾上眉子は
「毎日、毎日、どきどきするぐらい幸せ」(91頁)を感じ生きていた。