老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

600;上手な介護サービスの活用処方 第51話「認定調査の項目」 〔48〕 「話がまとまらない」

2017-12-10 10:56:26 | 上手な介護サービスの活用処方
上手な介護サービスの活用処方 第51話「認定調査の項目」 〔48 
         4-15 話がまとまらない(有無)

 ここでいう「話がまとまらず、会話にならない」行動とは、話の内容に一貫性がない、話題を次々
と変える、質問に対しては全く無関係な話しが続く等、会話が成立しない行動のことである。


1.ない
2.ときどきある
3.ある

 いわゆる、もともとの性格や生活習慣等の理由から、会話が得意でない(話下手)等のことではなく、
明らかに周囲の状況に合致しない行動のことである。


認知症の症状が進むと、相手が話されている言葉そのものの意味がわからず会話が成立しなかったりする。
認知症高齢者にも取り繕いがあり、一見会話ができているように見えている場合もあるが、実際は話の内容について理解していない。

認定調査とは別に、日常生活において
認知症老人の話が間違っていたり、まとまっていなかったとしても、
それを訂正したり「間違いだよ」と言ってしまうと
その人とは話をしなくなってしまう。

認知症老人同士が会話している脇で聞いていると
お互いに話が噛み合っていなくても
相手の話を否定せずに聴いているから、
ふたりの会話は続いている。
認知症老人から「聴く」ことの大切さを学んだ

599;介護に休みはない

2017-12-10 07:30:09 | 老いびとの聲
南陸奥からの朝焼け

介護に休みはない


私は何故か
いま週6日稼働
週5日はケアマネジャー
週1日はデイサービスの生活相談員
〔人不足のため生活相談員を兼務している〕
本当は定年になったら
のんびりと暮らそうと思ったのだが
年金受給額の受け取り案内が届き
その額の少なさに驚愕した。
予想の半分にもなく、
その上預金も底をついていた。
あるのは妻とbeagle・genkiと100㎡の小さな平屋。
臓器移植術後も問題なく安定し
介護相談を始めた(居宅介護支援事業所を立ち上げた)。

前述したように私には週1日の休みがある。
浅山薄次郎さん(72歳)は5年前脳梗塞で倒れ
高次機能障害となり要介護4の認定を受け
いま週3回デイサービスと福祉用具貸与の介護サービスを利用されている。
妻は、厚子さん(70歳)は献身的なほど夫の介護を続けている。
在宅訪問をするたび「疲れていませんか」と気にかけている。
厚子さんは、夫の介護を始めてから
「夜は夫の(介護用)ベッドの脇で、着のみ着ままで寝ている。
お風呂は烏の行水でゆっくり入ったことがない」。
夫の傍から離れるときは、「台所へ行っているからね」「チョッと風呂に入っているからね」と
言葉をかけないと不安になり、歩きだしてしまう。
ただ歩くだけならいいのだが、足元はふらつき転倒の心配と
感情が不安定になり興奮してしまい何が何だかわからなくなってしまう。
デイサービスで(夫が)居ないときは、
買い物にもでかけず(車の免許はない)、横になり休んでいる。

近くに住む長女が週1回訪れ、一緒に出かけ息抜きの食事や買い物をしてくるだけ。
大きな脳梗塞をは発病する前、薄次郎さんは市会議員をしていたこともあり
つきあいは広く、本人曰く「夜の仕事に忙しく飲み歩いていた」。
昼夜夫は家に居なくいつも妻は「留守番役」にあった。
病気になり始めて夫が私の傍にいつも居るようになり、いまは幸せです
、と厚子さんは話してくれたことがあった。
彼女にいま何がしたいですか、と尋ねたら
「ゆっくりお風呂に入りゆっくり寝たい」と
笑ながら答える。

本当は月に数回ショートを利用できればいいのだが
この先も難しい。
妻が居ないとパニック的状態になり、妻に対し大きな声を出した殴りかかろうとする。
過去にも妻の顔が黒ずんでいたこともあった。
ショートを使うことで、夫との間において信頼関係が崩れてしまうことを危惧している。
休みのない介護が続いている・・・・。

在宅訪問やデイサービスで
薄次郎さんに会うと
どちらかともなく
お互いに右手を挙げ「おっ!」と声をかけあい、挨拶を交わす。
その仕草はかつて元気だったころを想い出す、と
横で妻は話してくれた。