老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

936 「癪に障る」ではなく、「気になる」

2018-09-20 08:20:29 | 読む 聞く 見る
 「癪に障る」ではなく、「気になる」

夕暮れどき
beagle元気と散歩していると

しつこく
蚊が
私の首や顔の周りを
ブ~ン 飛び回ったり
止まったりする

散歩の終わりまで
つきまとうだけに
うっとしく
癪に障る

蚊も生きねばならぬから
人間様の血を求める小さな吸血虫
そんな生き物にも
気をかける


小さいと言えば
右足の靴底に
小さな小さな石が入り込む

歩くとき
足裏にあたり
気になる

縁石に右足を乗せ
靴をひっくり返し
トントンとし
靴を履き直すが
小石がへばりつき落ちておらず
気になる

気になる、と言えば

桃子さんは
喉に引っかかった魚の骨ならば
ご飯をげろ飲みすればすぐ治るとも、

心に引っかかった言葉だば、
いつまでたってもいづいのす。
苦しくてたまらない。

(若竹千佐子『おらおらで ひとりいぐも』河出書房新社 p18より)

心に引っ掛かる言葉は
いつまでも気になる