老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

942 鈴虫の声

2018-09-26 04:07:54 | 阿呆者
 鈴虫の声

たった一匹の鈴虫
体を震わせ
鳴いている声が
家のなかから
聴こえてくる

夜明けは近いが
そとはまだ暗闇
何を想い
鳴いているのか

恋を欲し
愛を求め
体を震わせ
いまを精一杯生きている
鈴虫

私には
鈴虫の鳴き声は
寂しく聴こえてしょうがない

恋に破れた
ある鈴虫の声だけが
聴こえる