朽ち落ちた枯れ枝の脇に咲く白い花(マーガレット)
1559 最後だとわかっていたなら
アメリカ人の女性が、10歳の息子を亡くし、
その悲しみの思いを綴った詩です。
ところが、この詩が9.11同時多発テロの追悼集会で朗読され、
とても大きな反響を呼び、瞬く間に世界中に拡散されました。
この詩の素晴らしさは日本にも伝わり、
感動した佐川睦さんが著者の許可を得て和訳し、
ご自分のサイトで掲載すると、日本でもたちまち話題になり、書籍化されました。
tomorrow never comes
「最後だとわかっていたなら」
作・ノーマ コーネット マレック / 訳・佐川 睦
あなたが眠りにつくのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは もっとちゃんとカバーをかけて
神様にその魂を守ってくださるように
祈っただろう
あなたがドアを出て行くのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは あなたを抱きしめて キスをして
そしてまたもう一度呼び寄せて
抱きしめただろう
あなたが喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが
最後だとわかっていたら
わたしは その一部始終をビデオにとって
毎日繰り返し見ただろう
あなたは言わなくても
分かってくれていたかもしれないけれど
最後だとわかっていたら
一言だけでもいい・・・「あなたを愛してる」と
わたしは 伝えただろう
たしかにいつも明日はやってくる
でももしそれがわたしの勘違いで
今日で全てが終わるのだとしたら、
わたしは 今日
どんなにあなたを愛しているか 伝えたい
そして わたしたちは 忘れないようにしたい
若い人にも 年老いた人にも
明日は誰にも約束されていないのだということを
愛する人を抱きしめられるのは
今日が最後になるかもしれないことを
明日が来るのを待っているなら
今日でもいいはず
もし明日が来ないとしたら
あなたは今日を後悔するだろうから
微笑みや 抱擁や キスをするための
ほんのちょっとの時間を
どうして惜しんだのかと
忙しさを理由に
その人の最後の願いとなってしまったことを
どうして してあげられなかったのかと
だから 今日
あなたの大切な人たちを
しっかりと抱きしめよう
そして その人を愛していること
いつでも
いつまでも 大切な存在だということを
そっと伝えよう
「ごめんね」や「許してね」や
「ありがとう」や「気にしないで」を
伝える時を持とう そうすれば
もし明日が来ないとしても
あなたは今日を後悔しないだろうから
在宅で寝たきりでいる老人
末期癌にあっても最後の瞬間まで生きている人
明日が来るとは誰にも約束されていない
今日が最後になるかもしれない、と
そう胸深く想い
「いつまでも 大切な存在だということを そっと伝えよう」
過去のことは忘れ
未来のことはわからない
現在(いま)に生きている
認知症老人の後ろ姿から
大切な存在だということを
気づかせてくれた
生きるとは 老いとは 何かを
見つめさせてくれた
私も同じ路を辿るかもしれない・・・