老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

介護とは ④{介護サービスとは}

2020-06-12 17:10:17 | 介護の深淵
1561 介護とは ④ {介護サービスとは

寝たきり老人、認知症老人など介護を必要とする老人が増加し、
社会的な介護が求められ、2000(平成12)年に介護保険制度がスタートした。
介護は社会保険の一つとして位置づけられ、
利用者は介護サービスの種類や介護事業所・介護施設を選び利用できるようになった。

介護保険料を納め、利用するときには介護保険自己負担額(1割から3割)を支払い、
介護サービスを利用する(介護サービスを買う)。
介護サービスの内容が悪く、納得できないときは、
利用者その家族は市町村介護保険担当や管轄の地域包括支援センターに苦情を申し出ることもできる。

ホテルはお客様をおもてなし、このホテルを利用してよかった、
と満足していただくサービスを目指している。
痒い所に手が届くようなサービスを行う。

介護もホテルと同じくサービス業であり、
利用者はお客様として捉えていく。

麻痺や痺れ、筋力の低下等により排せつや入浴のとき
下着・ズボンの上げ下ろしが思うようにできないときなど、
手を差し伸べ介助をさせて頂く気持ちで介護サービスを行う。

「おむつを取り換えてあげる」「お風呂に入れてあげる」といったような「してあげる」といったような介護では、
介護は「サービス」である、という考えは存在しない。

介護に限らず、自分が相手(お客様)に対して行ったサービスが、
相手は満足しているかどうか、
相手の表情や言動から推し量り満足度を評価していくことが大切になってくる。

介護の現場では、
「今日はお風呂20人入れた」
「おむつ交換はいつもより早く終わることができた」などと介護職員の満足した言葉が聞かれる。
利用者は、ゆっくりとお風呂に浸かり満足できただろうか、
と自分の行ったサービスがこれでよかったのかどうか
見つめなおすことが大切。

サービスの主体者は誰なのか、
それはホテルにおいてもデイサービスやショートステイにおいても同じである。
サービスの主体者はお客様(利用者)にある。
介護は「サービスである」という考えを
介護業界のなかに浸透させていくことが求められている。

介護とは ③ サービスとは

2020-06-12 05:09:03 | 介護の深淵
beagle genkiと散歩のとき出あった黄色花

1560 介護とは ③ {サービスとは}

「これサービスしとくよ」「これおまけするよ」と店員さんから言われると、
サービスは「ただ」というイメージがし、何か得をしたような気持ちになる。
お客様が、金を払って商品を買ってくれると、
店員さんは「ありがとうございます」と深々と頭を下げる。

店員さんは店の片隅からお客様を観察している。
このお客様は靴を買うのか、買わないのか、迷っているのか、
キャッチしながら何気なくお客様に近づき言葉をかける。

この靴ならば身長を高く見せられるし、脚を細く見せることができる。
この靴が「欲しい(ウォンツ、wants)」と思ってはみたが、
自宅の下駄箱には、履ける靴が3足あり、買うかどうか迷っている。

そこへ店員さんが何気なく近づき、
「いま着られている可愛い服によく似合っていますよ」
「どうぞ試し履きをなさってみてください」と言葉をかけられた。
「すごく素敵です」、と褒め言葉が続き、店員さんの言葉に乗せられ
つい「靴」を買ってしまった。

靴は下駄箱に3足もあるのだが、
この靴が「欲しい」という気持ちを、
お客様が財布の紐を緩めるかどうかは、
店員さんの観察力、壺を得た言葉かけが大きい。
 
十年前に読んだ本なので、書名、著者も忘れてしまったが、その本のなかにこんなことが書かれてあった。

夕食時になるとホテルのレストランで食事を摂っている白髪の男性老人がいた。
今夜も食事をされるとき、
ハガキサイズよりやや小さめの額に収められた妻の写真を左手に持ち、呟くような言葉で話しかけていた。
その様子を見ていた若い男性のホテルマンは「よろしければこの立をご利用ください」、と白髪の男性に手渡した。
男性は妻の写真を立てに置いたことで、左手も使えるようになりリラックスした気持ちで食事が摂れ、
ホテルマンのちょっとした気遣い(心配り)に感激、感謝されていた。

このように痒い所に手が届くようなホテルマンのサービスこそがもてなしであり、
お客様にまたこのホテルに泊まりたくなるような気持ちにさせる。