ウォーキング道の脇にハナウドが生えています。そこにキアゲハの幼虫がいます。探せば,あちこちで見つかる程度には棲んでいます。
ふと見ると,脱皮してから間もない幼虫が目にとまりました。葉の表側にいて,個体の後ろには殻がまだ残っています。それを脱いだままの方向に進んで,じっとしているのです。わたしは,野でこうした光景をみるのは初めてでした。
葉には太陽がさんさんと照りつけ,からだを温めています。脱皮時は危険にさらされるはずです。にもかかわらず,日が高いうちに脱皮をするのは考えてみれば冒険です。脱皮後,乾いた空気に触れて速やかにからだを乾かすのに,晴れの日は都合がいいのでしょうか。
それはともかくとして,この個体を持ち帰って,写真を撮りました。撮り始めは,からだは静止したままでした。
しばらくして,からだを反転させて殻に向かいました。そうして,それを口にし始めたのです。
振動を与えると,やはり影響が起こることがあります。食べるのをさっとやめて,じっとしていました。警戒心があるのでしょうか。かなり時間が経って,再び食べ始めたのです。大きな幼虫は,ぐいぐい食べます。見る見るうちに,殻がなくなってしまいました。
結局,これまでの観察からいえるのは,脱皮は概ね葉の表で行われ,直後,殻は個体によって食べられる,ということです。