『キアゲハ,ハナウドに産卵(孵化後 ~その9~)』で取り上げた個体が蛹化したあと,ほんの3時間経って,すぐ隣りで前蛹状態だった個体が後を追うようにして蛹になりました。逐一変化を見届けて脳裏に焼き付けました。今回は,この報告です。なお,個体は箱の隅にあって,さらに光を反射するために,鏡のような画像になっています。
9時。どうやら,蛹期を迎えたようです。7,8秒に1回,全身が力むように力が入ります。入っては,抜けて,そしてまた入って,といった収縮・弛緩を反復するリズム正しい動きです。いわゆる産気づいた状態です。
それが40分程続きました。
そして,ほんの数分,止まったような状態になりました。これが9時45分。すると,全身の皮がザワザワッと後ろ側に流れるといった印象の動きが見えて来ました。そして,からだの横にややピンクがかった帯が現れました。これはジャコウアゲハの蛹化現象と一致します。
はじめに,頭の殻が動き,次に背が裂けました。そして,わずかな隙間から蛹の軟らかい皮が見えました。9時46分。
どんどん皮は下に送られていきます。
9時47分。触覚が浮き上がっているのが確認できます。これがまた付着するのです。
9時48分。
9時50分。皮を脱ぎだしてから 4分経過。皮が下まで送られると,蛹はからだをくねくねしてそれを落とそうとしました。ついにその努力が成って,皮は落下していきました。
皮を落とすと,蛹は途端に動きが小さくなりました。9時52分撮影。
結局,この例では,前蛹のからだの動きが目立つようになってから一時間以内に蛹化への変化が起こることがわかりました。頭部の変化が見えてから皮の落下まで5分の出来事です。大変化は一気に起こり,一気に収束します。