蛹になる前に,幼虫は身の落下を防ぐため糸を紡ぎ出して,からだを固定しなくてはなりません。その姿はいくらでも,個体の数だけ簡単に観察できるのですが,口にある器官から糸そのものが出てくるのを見ようと思うと,これがなかなかたいへんなのです。
ルーぺ越しに,じっと観察していると,確かに出てきていると思われる瞬間を目撃できることがあります。しかし,それが長く続くわけでなく,ほんの瞬間なのです。それで,同じ動作を繰り返すので,だいたいの見当をつけておいて待ち構える必要があります。
下写真は糸を出している場面です。
これを近接撮影します。絹糸が出ている様子がうかがえます。
同じ場面を写した写真をトリミングしてみると……。
M字型の黒い部分が顎。ここで食草を噛みます。それより下に糸を紡ぎ出すとくべつな器官があって,そこから出ているのがよくわかります。
関心を向けていると,いつかは,ある程度実態が見え始めます。
からだの器官はすべて意味があって存在します。その意味を,カメラをとおして問いかけるのは実におもしろいものです。