自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

キアゲハ,ハナウドに産卵(孵化後 ~その10~)

2013-06-20 | キアゲハ

蛹になる前に,幼虫は身の落下を防ぐため糸を紡ぎ出して,からだを固定しなくてはなりません。その姿はいくらでも,個体の数だけ簡単に観察できるのですが,口にある器官から糸そのものが出てくるのを見ようと思うと,これがなかなかたいへんなのです。

ルーぺ越しに,じっと観察していると,確かに出てきていると思われる瞬間を目撃できることがあります。しかし,それが長く続くわけでなく,ほんの瞬間なのです。それで,同じ動作を繰り返すので,だいたいの見当をつけておいて待ち構える必要があります。

下写真は糸を出している場面です。

これを近接撮影します。絹糸が出ている様子がうかがえます。 

同じ場面を写した写真をトリミングしてみると……。 

M字型の黒い部分が顎。ここで食草を噛みます。それより下に糸を紡ぎ出すとくべつな器官があって,そこから出ているのがよくわかります。

関心を向けていると,いつかは,ある程度実態が見え始めます。

からだの器官はすべて意味があって存在します。その意味を,カメラをとおして問いかけるのは実におもしろいものです。

 


ジャコウアゲハ観察記(その233)

2013-06-20 | ジャコウアゲハ

6月14日(金)午後7時30分。植木鉢の側面に付いた前蛹を見ていると,どうやら蛹化の兆候らしい動きが見え始めました。例によって,筋肉の収縮・弛緩の反復です。動きそのものは小さいので,まだ蛹化までには時間がかかりそうです。

午後9時になると,動きが大きくなってきました。筋肉の反復は,1分間に12回を数えるようになりました。そして,これが1時間近く続きました。表皮の白い部分を見ると,蛹の黄色が透けて見えかけました。その間に蛹と皮との間に隙間ができて,脱皮の準備が整えられていくのです。

いよいよ皮を脱ぐ瞬間がやって来ました。体節を覆っていた皮が伸びて,凹凸がなくなっていきます。

間もなく,頭部近くが裂け,蛹がほんの少し見え始めました。

皮はどんどん尾端方向に送られていきます。

どんどん,どんどん,と。

皮が先まで到達すると同時に,蛹はからだをピンピンと揺り動かして皮を落とそうとしました。なんとか落とそうとする習性が備わっているのです。これはアゲハ・チョウ類に共通していえることです。

何度かやっているうちに,皮はうまく落ちていきました。このとき時刻は午後10時を指していました。皮を脱ぎ始めてからここまで3分。前蛹に変態の兆候が見えてから2時間半。

この場面は何度見ても,生命の神秘を感じます。