自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

キアゲハ,ハナウドに産卵(孵化後 ~その11~)

2013-06-21 | キアゲハ

『キアゲハ,ハナウドに産卵(孵化後 ~その10~)』の続き話をしましょう。

幼虫は尾端固定用の絹糸を出し終わると,からだの向きを上に変えました。そうして,尾端をこれらの糸にくっ付ける作業に入ったのです。

この過程は今回初めて納得できた点です。

支柱である竹に付けた糸は,けっして一箇所にきちんとまとまっているわけではなく,ある程度広がりをもって付いています。

幼虫は腹脚の一部と尾脚とをミットのようにポンポンと使いながら,糸を集めていきました。脚の中には筋肉質の器官が付いていて,それ出入りを繰り返しながら糸を集めていくといった感じです。

尾脚の動きに合わせるように,糸は一つにまとまっていくのです。見事に! 糸は脚に付くことはありません。ふしぎな光景です。   

糸が一箇所にまとまってくると,幼虫は尾端をそこへ持って来て,何度かギュッと押しました。すると,接着効果が現れてくっ付いたのです。 

ふしぎな,ふしぎな光景でした。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その234)

2013-06-21 | ジャコウアゲハ

家でマイカーの洗車をしていると,ヨッさんが軽トラで通りかかられました。そしてわたしの姿を認めて,停車。手に牛乳パックを持って来られました。

中には,草とジャコウアゲハの幼虫が入っていました。自宅の食草が激減したので,幼虫を棲息地に持って行ってやるとのこと。そして,こうおっしゃいました。

「蛹から成虫が出てくるのはなにもふしぎでもないし,写真で見たこともある。しかし,幼虫が皮を脱いで,そこから蛹がにゅるにゅると出てくるのはスゴイと思う。この間,それを待っていたのに,ちょっとその場を離れたらもう蛹になっていた。残念な思いをした。皮をドロドロッと忍者のように脱いで,新しいものが出てくるとは想像以上の場面にちがいない」

ヨッさんは,それが夜間に行われるとばかり思っておられたようです。それで,わたしが「時刻を選ばないし,動きがはっきりして1時間程度で脱皮します。それはチョウやアゲハ一般についていえることです」と話すと,驚いておられました。ついで「徹夜してでも見る意欲・根気があるかどうか,そこの問題でもありますが」というと,「今のわたしにできるかいなあ」と笑っておられたのが印象的でした。

孵化,幼虫脱皮,蛹化,羽化,そうした変化には兆候が必ずあります。変化の流れを経験で蓄積していけば,ほとんど誤差なく,期待する場面を観察できます。そこにはいのちに関する法則性が存在するのです。

したがって,変化を敏く感じとることが観察眼の要になるでしょう。