『キアゲハ,ハナウドに産卵(孵化後 ~その10~)』の続き話をしましょう。
幼虫は尾端固定用の絹糸を出し終わると,からだの向きを上に変えました。そうして,尾端をこれらの糸にくっ付ける作業に入ったのです。
この過程は今回初めて納得できた点です。
支柱である竹に付けた糸は,けっして一箇所にきちんとまとまっているわけではなく,ある程度広がりをもって付いています。
幼虫は腹脚の一部と尾脚とをミットのようにポンポンと使いながら,糸を集めていきました。脚の中には筋肉質の器官が付いていて,それ出入りを繰り返しながら糸を集めていくといった感じです。
尾脚の動きに合わせるように,糸は一つにまとまっていくのです。見事に! 糸は脚に付くことはありません。ふしぎな光景です。
糸が一箇所にまとまってくると,幼虫は尾端をそこへ持って来て,何度かギュッと押しました。すると,接着効果が現れてくっ付いたのです。
ふしぎな,ふしぎな光景でした。