寄生バエの幼虫が囲蛹になってから11日目のこと。
囲蛹を入れた容器を見ると,ハエが一匹飛び回っていました。囲蛹に見合った大型のハエです。それまで入っていたカプセルの先には,出てきた穴がぽっかり開いて,蓋がかろうじて取り残されていました。
このハエが寄生バエなのです。ハエのことなので,盛んに動き回り,チャンスがあれば容器から逃げ出そうとします。それで,撮影するのは容易ではありません。プラスチック容器の壁の向こうにとまったハエを写したのですが,壁越しでは像が曇ってしまい,結局満足のゆく画像を得ることはできませんでした。
それで,今度は冷却作戦をとりました。短時間冷蔵庫に入れて,動きを鈍らせる策です。これは効を奏しました。口器を掃除するしぐさも撮れました。
横から撮ると,全体のすがたがはっきりしています。棘の荒々しさが際立っています。
さて,このハエの正体のことです。詳しくはわかりませんが,ニクバエ科の一つであることはまず間違いなさそうです。蛹の腹部に寄生していたことを考え合わせると,辻褄が合います。
それにしても,ツマグロヒョウモンの体内に,どの時期に,どのようにして産み付けられたものなのでしょうか。残念ながら,この疑問が解けるヒントは得られていません。