ヤマトシジミやベニシジミの1齢幼虫を見ると,からだに似合わないほど長い毛が全身を覆っています。それは,ややオーバーな表現をすると,まるで魚の骨格を連想させるかたちに見えます。
なぜそんなに長い毛を持っているのかと疑問が湧きます。正答は,生物学者を含めだれにもわからないでしょう。ただ,推測するほかありません。たぶん,小さいからだなりに,外敵から身を守るとか,動いている際に物理的に接触するものから受ける刺激を和らげる,そんな理由があるのではないでしょうか。
さて,この幼虫に出合おうと思えば,カタバミの葉を探すことになります。卵はごくふつうに産付されていますから,その数だけ幼虫が生まれます。それで,繰り返して探しているうちに目が慣れてきて,次第にその“骨格” 的からだに容易に出合えるようになります。
身の安全を保つために葉の裏で生活しています。それを見つけても,その状態で撮影するのは結構むずかしいものです。
この写真は植木鉢に植えているカタバミで幼虫を発見して撮ったものです。植木鉢なら横に倒して撮影できます。運に任せて幼虫を探すかといえば,そうではありません。必ず食痕を目印にします。食痕は葉の表側からはっきり確認できます。
若齢幼虫は小さな食痕を残しています。確率は高くはありませんが,そこにいる可能性がかなりあります。そのぐらいの気持ちで適当に探します。そうして出合えると,「ヤッターー!」とこころが踊ります。こういう気持ちは,人にはなかなかわかってもらえそうにありません。