ヤマトシジミの産卵は,幼虫の食草であるカタバミの葉になされます。そして,そのほとんどが葉の裏側です。考えてみると,その理由としては,卵が日照りや降雨などの気象条件からの影響を受けにくいように,また天敵による難から逃れるように,という点が考えられます。
さらに,カタバミは日が沈むと葉を閉じる性質,日周性をもっているので,暗くなると,産付卵はそのままでは観察できない状態になります。この性質もまた,卵の安全を保つうえで少なからず力を発揮しているでしょう。
ところが,“ほとんど”の例に当てはまらない例外例もときには見られます。
たとえば,葉の表側です。たまたまそこに産み付けられたと思われますが,たいへん珍しい例です。観察者には孵化まできちんと見届けることができるので,とても助かります。
たとえば,実(果)の表面です。この産付卵もまた,途切れることなく観察できます。
観察事例を増やしていくうちに,生きものの多様性を考える材料が自ずと手に入るものだなあと改めて感じています。それゆえに,やっぱり観察の目を緩めるわけにいきません。