自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

突然のイシガケチョウ

2014-09-11 | 昆虫

我が家のミニ果樹園で,イチジクの手入れをしているときのこと。イチジクの葉の間から,白っぽいョウが一羽舞い上がり,すぐに同じイチジクの葉に降りました。まったく思いがけない出来事でした。

おもしろいことに,葉の裏に付くと翅をベタッと広げた格好をしたのです。写真を撮ろうと思って,近づくと再び舞い上がりました。そうして,やっぱり葉の裏に舞い降りてきて,同じように翅を広げました。

図鑑では見たことがありますが,実物を見るのは初めてのチョウでした。そんなわけで,名は浮かんできません。風が吹くなか,指で葉を支え,かろうじて一枚だけ写真に残すことができました。


なんだかくわしく調べたくなって,大急ぎで自動車からビニル袋を持ってきて,採集しました。それを持ち帰って調べた結果,イシガケチョウと判明。

せっかくなので,いろんな角度から接写撮影をしておきました。相当にいろんな目に遭ったのか,翅の縁がボロボロ状態です。

 


撮影後,図鑑(『原色日本昆虫生態図鑑(Ⅲ)チョウ編』保育社刊 ほか)を調べて,「ほほーっ!」と驚く事実が見えてきました。分布の北限は三重県だとか(別の図鑑には,「紀伊半島以西」の記述あり),幼虫の食餌植物の一つがイチジクだとか,産卵は新葉・新芽にしかしないとか,です。

分布からみると,わたしが住む地域は境界近くだと思われます。ということは,ありふれたチョウなのではなく,珍しいチョウといってよさそうです。

それが果樹園のイチジクにいただなんて。「そしたら,もしかすると産卵に来ていたのかもしれない。卵を探してみたら?」。わたしの脳裏をかすめたのがこの“?”でした。