秋の気配が濃くなってきました。朝夕,風のなんとさわやかなこと。出会う人との挨拶は,まず気候の話です。目を遠くに向ければ,イネが色づいて,刈り取り作業が始まっていることがわかります。
田の畦でヒガンバナが真っ赤な花を付けています。路傍ではゲンノショウコが可憐な花をちりばめ,ツユクサが青い花弁を遠慮深げに開いています。ツユクサにはバッタが似合うようです。
ヒガンバナに赤トンボがとまっていました。真っ赤な花に,真っ赤なからだ。秋の匂いが濃くしました。すこし行くと,イナゴが花茎に取り付いていました。1匹のも,オス・メスがペアのもいました。イナゴのいる自然がわずかに復活し始めたのでしょうか。しかし,いったんいなくなるとなかなか元には戻りません。イナゴのような象徴的な昆虫の激減例は,「崩された生態系は取り返しの付かない結果をもたらすぞ」と警鐘を鳴らしているようにみえます。
そんなわけで,イナゴを見ると,「ほほーっ!」とうれしくなります。いうまでもなく,下の大きい方がメス,上がオス。2つが揃うと,区別が付きます。産卵に備えた行動です。
昆虫の警戒心には,種によっては強いものがあります。離れたところから二匹の存在を認め,そっとそっと近づいていきました。しかし,敏感に感づかれました。花茎のちょっとずつ回るように移動して,わたしの正反対にいこうとするのです。カメラを持っていくと,それから遠ざかろうとしました。
花茎を指先ですこしずつ回して撮ろうとすると,おしまいには下方に移動を始めました。ほんとうに敏感です。
そんな行動はカマキリにも典型的に現れます。とくに幼虫時のカマキリです。個体の生命維持という観点で,昆虫の敏感さに驚かされます。さすがです。