自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

紙づくりと粘剤(2)

2016-06-28 | 野草紙

粘剤(“ねり”)を身近な材料から得るには,粘液成分を体内にもった植物を利用すればよいでしょう。

納豆は大量になくては,適量の粘液を得ることができないのでひとまず候補外。それ以外で頭に浮かんでくるものといえば,オクラ,モロヘイヤ,ツルムラサキ,オオマツヨイグサ,サネカズラなどがあります。実際にそれらを使って粘液を取り出し,紙づくりに使いました。その経験談をお伝えしましょう。

もっとも手に入りやすいのがオクラでしょう。使うのはオクラの実。5,6個もあれば大丈夫。

 
近くに栽培農家があれば,葉,葉柄をわけてもらうのも名案。実にこだわることはありません。からだ中に粘液成分を持っているからです。このことは他の植物でも同じです。


木槌で叩き潰してから,薄い布生地かメリヤス生地で包んで水にしばらく浸けて馴染ませておきます。粘液をたくさん取り出したい場合は,一晩浸けておくのがよいでしょう。

 

 
水に馴染んできたら,何度も揉んで,硬く絞ります。すると,粘液が出て来ます。緑色の粘液です。揉む➡水に浸す➡揉む➡水に浸す,この繰り返しをします。

 
夏だと,野外でオオマツヨイグサが採集できます。ここでは,花だけを使って粘液を取り出しました。

 
要領はどの材料でも同じです。

 
絞ると……。粘液が尾を引くようにしてゆっくり落ちて行きます。黄色の花なので,液もそれに近い色をしています。

 
オクラ粘液とオオマユヨイグサ粘液をコップに入れて,比べてみましょう。左がオクラ,右がオオマツヨイグサです。


この粘液を紙料に加えて漉いても,色はほとんど気になりません。同じようにして,モロヘイヤもツルムラサキも利用できます。こうして自然の材料を使うことで,素材としての植物と,いわば対話することになります。これが“経験知”にもなるのです。安易に合成糊を使うことでは得られない“知”です。

次回は,もっと成長期間,利用期間が長い植物であるサネカズラをご紹介します。 

 


キタキチョウの成長(1)

2016-06-28 | 昆虫

6月19日(日)。雨。幼虫が雨に濡れてじっとしていました。体長6mm。2齢かと思われます。体色と若枝と,見分けがつきにくい! 所在を見失ってはいけないので,幼虫のいる小枝を切りとって水に挿しました。


すっかり枝に溶け込んだよう。 

 

6月22日(水)。体長16mm。ぐっと育ちました。

 
律義な食べ方で,一枝の葉を無駄なく食べ切っています。枝を挿した容器の周りには細かな糞がいっぱい散らばっています。