自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

クモを狩るササグモ

2016-06-29 | 生物

キンカンの木のあちこちに,クモがいます。いくつかの種類がいます。そこを訪れる昆虫が多いからです。葉の色に近い色でもしていれば,昆虫の目に付きにくいはず。油断している隙に,パッと襲いかかるともう逃げられません。

昆虫が襲われるのは自然の摂理なのですが,なかにはクモが捕らえられる例があります。そうそう目にするわけではありませんが,珍しい光景なので印象に残りました。わたしが葉を手に持って写しても,クモは平気でした。あくまで ここにいるぞと決意表明しているかのよう。状況を考えると,下の白いものが卵の入った卵のうなのでしょうか。そうだとすれば,卵を守る母親の意志が現れていることになります。

 
長い脚が,長い脚に完全にとらわれています。でも,ほんとうはこの母が脱皮して捨てようとしている殻なのかもしれません。でも,成体が脱皮するのかなあ。殻の脚にある棘が,葉はそっくりで気になるのです。もしそうなら,今回のわたしの解釈はまちがっていることになります。

 
大きいのが勝つに決まっているような場面です。


翌日見ると,同じところでじっとしていました。指をからだに触れても動じる気配はありません。これも子のため。堂々たる母の姿です。それで,口の辺りに持っている物体は前日の獲物の一部のようです。いったい,なぜ?


生まれたり,食べたり,卵を守ったり,……,そんないのちのドラマがゆたかに,途切れることなく続いてゆきます。いつも「ほほーっ!」とこころを揺さぶられます。

 


紙づくりと粘剤(3)

2016-06-29 | 野草紙

サネカズラは山野のあちこちに自生しているツル植物です。百人一首にも出てくるので,ご存知の方も多いはず。竹藪や林にでも行けば,竹や木を支えにして上の方に伸びている光景を目の当たりにできます。このサネカズラ,一年中緑の葉を付けているので,利用期間がずいぶん長いといえます。もちろん,成長の旺盛な夏期が最適なのはいうまでもありません。


子どもの頃,わたしは“石鹸の木”という別名で教えてもらった記憶があります。葉を揉み潰すと粘っとした液が出てくるので,以来強い印象を持ち続けています。その液がいかにも石鹸に似通っているように思った人があったのでしょう。秋になる実も,付き方がにたいへん特徴があり,赤くて優雅に見えます。この実を見るたびに「ああ,サネカズラに実が生る頃を迎えたなあ」と今でも思います。

別名「ビナンカズラ(美男葛)」と呼ばれるほど人の生活と結び付いた側面を持っています。これから取り出された粘液を髪に付けて,整髪料として利用したのだそうです。それもずいぶん長い間使われてきたようで,知る人ぞ知る身近な植物です。

粘液を取り出す材料としては,わたしの一押し植物です。サネカズラのからだのどの部分を使ってもOKです。

今回は葉と茎を別々に使って,粘液を取り出しました。

まず葉を木槌で叩いて潰してから,そのまま一晩水に漬けておきました。もちろん,初めから布でくるんで水に漬けておいてもよいのです。


茎を叩き潰して水に浸けていたら,しばらくしてもう粘液がたくさん出て来ました。一晩,このまま水に浸けておきました。