自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

道央の旅(2) ~草たち~

2016-06-03 | 旅行

北海道の植物は,わたしたちの身近なそれとはずいぶん違っているように見えます。前に訪れてひどく驚き,今もなお印象深く頭に刻み込まれているのはフキのことです。

どこに行っても,葉も柄もあまりにも大きいので,「これって,食べるのかなあ」「おいしいのかなあ」とついつい思ったのです。林に生えるフキは,とくべつにノッポで,ジャンボな傘に見えました。そんなことにちなむ話を,宿泊したユースホステルで聞いた記憶がよみがえります。

以下は昔々の話。馬に乗った道すがら雨に見舞われたら,フキが傘代わりになったといいます。傘代わりにして歩いたというよりも,馬に乗ったままフキの下に入ったなんてエピソードが残っているとか。馬は馬でも,小型の道産子馬だからこそできたという解説が付いていました。

その話をガイドのRさんにすると,そのとおりとのこと。食材にはするものの,日陰で育つものを柔らかい時期に採集するらしいのです。昼食を食べた食堂でもメニューで出ました。食堂で働く若い方に尋ねると,「わたしも食べます。おいしいものではありませんが」という話でした。

どこに行っても,フキ,フキ,フキ,という風景はちっとも変わってはいませんでした。ここで。


そこで。


あそこで。


市街地でも!


ジャンボといえば,イタドリもそうでした。オオイタドリかと思われます。太くて背が高いというタイプでなく,細目の茎に大きな葉がどっさり付いているという体形です。

 


タンポポも目立つ花でした。エゾタンポポです。ちょうど花と綿毛が混在している時期で,わたしの住むところと比べると開花が遅い感じがします。


街中の花壇で見かけたハルジオン。これから満開期を迎えるようです。


ハルジオンとなかよく暮らしているのがスイバ。こちらは控えめの体形で,小ぶりです。気候の関係でしょう。


北海道の風景の中にない,日頃見慣れた植物はといえば,タケとクズでしょうか。ササはあっても,タケは一本も見かけませんでした。それらは地下から水分をたっぷり吸い上げ,さんさんと降り注ぐ光を浴びて生長していきます。タケは熱帯型の植物ですから,気温がまるで合わないのでしょう。北海道が梅雨のない風土であるという説明と結び付く植生です。

風景を見ていると,北海道らしい草の群れだなあと感じ入ります。広大な自然のなかで特徴的に見える草草が,否が応でも目に焼き付きます。