こんばんは、へちま細太郎です。
毎日の運動会の練習のおかげでぼくたちはおなかがぺこぺこで、きゅうしょくがたりないくらいです。いつもはあまるきゅうしょくのおかずが、さいきんはほとんど残りません。
だから、さらだ先生のつくえの中にしまってあるタッパーのおべんとうばこの出番が、ありません。
おかずのいれものをのぞいては、ためいきをついています。
そんなある日のほうかご、ベランダでおだじま先生とさらだ先生が、手すりによりかかって話しをしていました。
「今度、バレーの新人戦が控えていて、帰りがさらに遅くなったんだよね。おまけに、来月修学旅行なんだよ。その準備で遅くなっているみたいなんだ」
「2年の担任やって、運動部の顧問じゃ、大変だなあ」
「そうだな、ますます帰りが遅いんだよ」
「うちもさあ、嫁さんが出産で実家に帰っちゃって」
…おだじま先生のおくさん、赤ちゃんが生まれるのかあ。
「だから、給食の残りが唯一の俺の飯のおかずなんだよな」
あれ?
「最近さ、ソフト麺残ってないだろ」
「さっぱりしているからね」
…そういや、ぼくもたくさんもらって帰ってきたことがあったな。
「あれさあ、カレーぶっかけて食べるとうまいんだよな」
「カレー作りおきしてるのか?」
「してるしてる」
「えらいなあ」
…さらだ先生、感心してないで自分でも作れよ。
「簡単だぞ、肉とたまねぎをぶちこんで少し煮た後にレトルトのカレーとカレールーを入れるんだ」
「え?」
?。
「そうすると、具を用意しなくていいだろう?」
「あ~」
「余ったら冷蔵庫に入れるんだ」
「へ」
さらだ先生、おそるおそるたずねます。
「まさか、鍋ごと?」
「あたりめえだ。翌日、また継ぎ足して作るんだ。毎日、違う会社のレトルトを入れてるんだぞ」
…おだじま先生、すごすぎ…。
「ご飯は炊いているんだろ?」
「米のとぎかた知らないから、流水麺を買ってきてそれにぶっかけて食べてる」
さらだ先生は、かたまってしまい、教室で遊んでいたぼくたちも、おだじま先生の鍋カレーにはびっくりしてしまいました。
「食器はどうしてんだ?」
「鍋ごと食べてるから、ない」
「」
お嫁さんが、あかちゃんを生んで帰ってきた時が、こわいかも…。
どうする?おだじま先生…。