皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

学校再開で感じたこと

2020-06-04 21:47:39 | 食べることは生きること

緊急事態宣言が明け、ようやく小中学校も再開されました。コロナウィルスの感染状況についてはまだまだ予断を許さない状況ではありますが、日常生活が少しづつ戻ることを願います。

 これまで経験したことのない事態(少なくとも今の世代において)ですので、「新しい生活様式」が提案されました。密を避ける、ソーシャルディスタンスを確保する、換気を徹底する、人との交わりを制限する、マスクの常時着用など、これまでとは景色の違う日常が始まったと言えるでしょう。

 学校生活においても、教育の格差の問題から9月入学の是非が議論されましたが、拙速な移行はできないとして少なくとも来年度までの実施はされないことが表明されました。「多くの外国では」「世界標準で言えば」といった議論の観点から制度を変えることにあまり意味はないようです。

学校の再開は、親にとってもその生活リズムを保つ上で非常に重要です。約三か月間、学校の無い毎日は実際大変でした。ただ非常に貴重な時間でもあったと思います。乳幼児期を終えてから、これほど長い時間子供と自宅で一緒にいる機会はこれまでありませんでした。三度の食事を用意し、遊び相手となり、学習の様子を確認し、先の見えない中で平凡な毎日ではありますが、重ねてきた会話の中には笑いあり、躾あり、将来への展望など様々でした。

 ありきたりではありますが、夫婦そろって仕事の日には、お昼ご飯にお弁当を用意して出勤しました。手間はかかりますが、給食のありがたみを感じながら、最低限このくらいは用意しようと三か月続けていました。

 どんな生活であっても食べていかねばならない。だから人として大事なことは食べる術を身につけること。政治の役割は多くの人が争わずに食べていける仕組みを作ること。

 ウィルスに打ち勝った証として、来年には完全な形で世界の祭典を日本で開催する。空絵ごとのようです。

ウィルスに打ち勝つのではなく、ウィルスと隣り合わせで生きていく。そんな日常が続いていくのでしょうか。

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南天の葉を添えて~節分に赤飯を

2020-02-06 23:39:57 | 食べることは生きること

 

 年四回迎える節分でも立春前に限っては豆をまき、赤飯を炊いて祝う。近頃恵方巻が流行りだして久しいが私が子供の頃には少なくともここ北武蔵においてはそうした風習はなかったように思う。節分にまく豆は摩滅から転じたもので撒くことで邪気を払い、一方福茶(富久)として柚子、梅などと混ぜて飲むことが習わしだった。

 節分や立春は新春を祝う行事であることから赤飯を炊くことが習わしだった。少なくとも我が家では。今年は祝いの赤飯に添え物として南天の葉を乗せていた。音が南天ということから『難転』に通じ、縁起の良い木として鬼門または裏鬼門に植えることがあるという。福寿草と共に『災い転じて福となす』ともいわれる。

我が家の庭にも二個所に南天の木が育っている。いつだれが植えたのかはわからない。恐らく父の前の代であろうと思う。残念ながら私は社家の家系を継いだ叔父も祖父の顔も知らずに育ってしまった。しかしこうして庭の木々を受け継ぐ中で、代々引き継いできた社家としての在り方を肌で感じるようになっている。

南天の花期は初夏で茎の先端から上に伸びて花を多数つける。晩秋から初冬にかけて赤または白い小さな果実をつける。庭に育つ南天は紅白それぞれの一種ずつの木だ。実の色までも紅白揃い縁起物のようだ。

 生け花の花材になる他に葉と果実は薬用にも用いられることがあるという。

神社参道には南天の木と本榊が交わるように立っている。青々とした常緑の榊は神域にふさわしく日々夕日に照らされて南天の葉とともに氏子区域の暮らしを見守っているようだ。

 

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オリジナルミルクコーヒー

2019-07-26 23:28:58 | 食べることは生きること

一人勝ちだったコンビニが、営業時間と見切り販売の自制から世間で叩かれている。それでもコンビニ無しでは今の社会生活が回らないのも事実で、実際には毎日のようにその商品が入れ替わり立ち代り、消費者の嗜好に沿って選別されている。大手コンビニの定番品になるのは、大変なことだ。
ロングセラー商品でも同じことで、昔はあったが今は見かけないものも多い。
缶コーヒーの先駆けとなった、UCCオリジナルミルクコーヒー。発売は1969年というから、今年で50周年。懐かしの歴代パッケージの復刻版が販売されている。
中学の頃飲んだ記憶がある。甘くて美味しい記憶だ。
売られていたのは5代目のパッケージで販売は1993年。自分が大学生2年生の年だ。この年はまれに見る冷夏で、米が不作となり、外国産米が緊急輸入されている。当時レストランで働いていて、店ではタイ米が提供された。奇しくも今年は長い梅雨でこの年以来の日照不足と報道されている。
多くのメーカーの商品がコーヒーに香料を加えて、風味を出しているのに、このUCCオリジナルミルクコーヒーは無香料だ。しかも砂糖以外の甘味料も入っていない。
だから他のメーカーの缶コーヒーと明らかに味と風味が違う。昔の味がするのだ。今日久しぶりに飲んでみてその違いに改めて気づいた。
コーヒーは嗜好品の象徴的な商品で、味も時代とともに進化している。一品くらい昔からの変わらない味が残ってもいいだろう。
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人口代替肉

2019-07-09 20:37:17 | 食べることは生きること

子供も大人も好んで食べるハンバーガー。世代を超えて愛されるファストフードだ。

ラジオで聞いた話では、アメリカではこの肉を植物性原料で代替したものが販売されているらしい。ラジオでは「人口代替肉」と呼んでいたが、アメリカでは植物性タンパク質で作った人工肉がすでに定着しているらしい。ビヨンドミートやインポッシブルフーズといった企業が牽引しているらしい。インターネットで見るといろいろな記事が出ていた。

バーガーキングでは100%大豆由来の人工肉を使って脂質やコレステロールを抑えた商品を定番化しているようだ。食品流通の現場で働いていながら、そんなことも知らなかった。まさに世の中日進月歩だと感心する一方自分のアンテナの低さを痛感する。

 ある試算によれば、植物性タンパク質を使って人工肉を作れば、必要な水、土地、エネルギーを本物の肉の50%近く削減し、温室効果ガスは90%減少するという。世界的な人口増、(日本と正反対)、地球温暖化、食糧不足に対して有効な政策だと伝えられている。

 一方で、肉とは伝統的な方法で動物からとれるたんぱく質食品を指すと、人工肉に対してその呼び方を批判するところもあるようだ。

どこまでが科学的根拠に基づいた正確な情報なのか自分には判断でいないが、最も印象に残った事象に、このまま畜産肉牛を増やし続ければ、その牛のゲップによって環境悪化が進み、あと地球3つ分の酸素量が必要になって来るとのこと。

 情報伝達において「○○個分○○年分」といった具体的数値を出されると記憶に残りやすい

日本において人口肉が売り出されるとすればコストコの可能性が高いらしい。

命の源、食べることも益々そのあり方が変化していくようだ。

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仕出し弁当ワサオーロ入り

2019-06-09 21:44:09 | 食べることは生きること

週刊誌において食品添加物の摂取を問題視する記事が踊っている。「食べてはいけない○○○」シリーズ。年金、医療、相続といった社会問題と並び、食品に対する安全性を問う記事は繰り返し伝えられる。それだけ多くの人が関心を持っている証拠だ。関心のない問題に読者は食いつかない。過剰な報道なのか、或いは的を得た鋭い指摘なのかは即座には判断できない。但し当事者にとっては死活問題だ。過剰な報道によって商品が全く売れなくなることもあり得る。

 

 昼食にとっている仕出し弁当にワサオーロのシートが入るようになった。以前はあまり見かけなかっただけに初めて見た際は驚いてしまった。

ワサオーロとは三菱ケミカルフーズが販売する食品添加物で、ワサビやからしに含まれるアリルカラシ油を主成分にしている。(HPより)液状よりもガス状(気体)の方がより抗菌効果が高く、食品の味や香りに影響なくその効果を発揮するという。但しワサオーロ本体からはワサビの刺激臭がかなりある。ワサビ好きの人には好いが、そうでない人にはやや抵抗があるかもしれない。

ワサオーロ自体がいつから商品化されたのかはわからないが、特にこのシート状の製品は内食化(総菜等の持ち帰り)の進む食生活にとっては需要が伸びるのではないかと思う。特に宅配の場合届けて顧客が食べる前に異物(小虫など)が混入してしまえばクレームの原因となり、その率が高ければ総じて代金回収にも影響する。心情的には虫くらい除けて食べればよいと思っているが、金銭授受が発生するからにはそうはいかないのが現実だ。「細心の注意を払う」と対応することが多いが、虫よけ効果が期待できる食品由来の添加物であれば、今後も需要は伸びるだろう。

三菱ケミカルフーズは以前は三菱化学フーズという社名だった。食品問屋にいた頃には製菓原料として「オリゴトース」の扱いがあった。でんぷん由良の天然の糖質で保湿性に優れ低甘味のため、砂糖の3割くらいを置き換えると商品の品質が向上するという。

添加物というとマイナスイメージが付きまとうが、様々な添加物によって今の豊かな食文化が形成されているのも事実である。食の安全について食べる本人が意識し学ぶことが問われているのだろう。

 

 

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