あいにくの曇り空となりましたが、行田市民大学・同窓会合同講演会に参加しました。場所はものつくり大学講堂です。9期生として昨年3月に卒業して以来、市民大学の講義に出席するのは初めてです。懐かしくまた久しぶりの機会を楽しみにしていました。
市民大学卒業後は同窓会に登録し、自分たちのグループにて活動する一方、企画研修委員会に所属しています。市民大学同窓会は企画研修委員会のほかにも広報交流、クラブ活動委員があり、事務局と共にそれぞれの担当業務をもって年間の活動をしています。企画研修委員会にとって今日の講演会は年間の最大行事で講師の選定、日程調整、チラシの作成案内等進めてきました。私はほとんど活動に参加できませんでしたが、講演会当日は、受付と駐車場の案内をお手伝いさせていただきました。
講演会の講師を務めていただいたのは行田市薬剤師会会長、鹿山高彦先生です。行田市長野にて土橋薬局を開業していらっしゃいます。また薬物乱用の防止指導員協議会会長、行田市教育委員会の委員も兼務していらっしゃいます。
講演のテーマは「健康と食事」~孫の世代につなぐ食習慣~ということで2時間の講演でした。市民大学の受講はご高齢の方も多く、こうした健康に関する講演は人気が高いようです。平均寿命と健康寿命の差をなくし、生涯健康で活動していく。こうした事が市民大学の目標とするところでもあります。在学中の講座でも健康に関するものは数回取り上げられていましたが、薬剤師である鹿山先生の講演は、食事を栄養素の観点から解説するもので、非常に興味深い内容でした。
健康の観点から
①摂ってはならないもの タバコ、電磁波、酒など
②摂っても無駄なもの コラーゲン
③より摂るべきもの 鎂
鎂と書いて「マグネシウム」と読むそうです。元素記号ではmgです。疲れやすい、ストレスが多いと感じる。イライラする、偏頭痛があるなどの症状の原因の一つにmg不足が考えられるといいます。一方生活習慣病の原因となるものは砂糖の過剰摂取といいます。
コーラ500mペットボトルに含まれる砂糖の量を表すと写真のようになるそうです。WHOによる成人の砂糖の必要量は25g。こうした事実を親世代の人が良く理解することが大切です。但し近年流行している糖質制限ダイエットは、健康面からすると良くないことだといいます。糖質は生物が生きる上でのエネルギー源となるもの。一方脂質やたんぱく質は血液や筋肉を構成する物質であって、糖質を制限することによりそれらがエネルギーとして燃焼させられてしまうと、水と二酸化炭素以外の物を体内で生成放出してしまい、全くの逆効果。炭水化物を制限してエネルギーをタンパク質、脂質で代用すると死亡率が上昇するデータがあるそうです。
ではダイエットに効果的なことは何か。それは悩むことだそうです。脳はその活動にエネルギーとするものはブドウ糖のみ。またその重さは体重の僅か2%しかないことから、糖質の摂取率が高い。よって仕事、恋愛、自分の将来など何につけても悩むこと、頭を使うことが結果的にダイエットになるそうです。
昔の人の教えに「遠くて近きを食べよ」というそうです。近きを食べるとは所謂地産地消のことで現在では積極的に推奨されています。「あなたの隣が産地です」というのはJAのキャッチフレーズです。では遠きを食べるとはどういうことか。これは人としての縁の遠いものを食べよという教えだそうです。食物連鎖によるもので最たるものは「共食い」は倫理的ではなく、種の近いものを食することにより弊害が発生することを指します。種の保存の観点からそれを制御する指示をDNAに残しているそうです。よって人にとっては牛、豚、鳥、魚、野菜。人間の種に遠いものの方が、たんぱく質の摂取の上で効果的と言われます。
最も印象に残った話は狂牛病の発生原因について。
狂牛病とは1986年にイギリスで発見された牛海綿状脳症と呼ばれる家畜の病気のことで、牛の脳がスポンジ状となる感染症。私は当時中学生でした。原因となったのは飼料として与えられていた汚染肉骨粉と考えられています。不明な点も多いそうですが、草食である牛に飼料として「共食い」ともいえる肉骨粉を使ったことであり得ない症状が発生したと言えます。しかもイギリスはその汚染肉骨粉を自国で規制がかかった後にも、他国(日本も含めて)に輸出していたそうです。これが自由貿易の弊害ともいえます。
このほかにも遺伝子組み換え食品がもたらす問題、携帯電話使用における電磁波の問題、電子たばこをめぐる問題など、身近に感じられる健康と食品、生活習慣、日本の食糧自給といったテーマにまで言及されたいらっしゃいました。
Your life your hands
三十年後にならないと結果の出ない食物の研究をする人はいない。あなた自身が考える時だ。
そう結んで講演を締めくくられました。