皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

ナガミヒナゲシ

2023-04-20 21:23:27 | 暮らしと植物

桜の開花からはやひとつき。春は花の開花に心なごむ季節。新緑の美しさとコントラストして様々な色の花を楽しむ毎日だ。自宅の砂利にもオレンジの可憐な花が咲いている。ポピー(ヒナゲシ)と思って所々で咲いていると思っていたところ。どうやら別の種類のはならしい。

「ナガミヒナゲシ」

色はオレンジの単色で外来種。他の花を枯らしてしまう「アレロパシー活性」を強く発し、毒性が強い植物だ。茎や葉から出る液に触れると手がただれてしまう。生命力も強く、道路脇やアスファルトでも平気で繁殖してしまうという。観賞用のポピーはアイルランドポピーでシベリア由来の寒冷地の品種。赤、ピンク、黄色と彩りも鮮やかだ。ナガミヒナゲシの毒性は規制されるほどの強さはないが、その繁殖力の強さで生体系を狂わせていく。

それぞれの植物の特性を知って人の手を入れていかなければ、日本の景観はこれまでと違ったものになるのに違いない。

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五色旗に見る疫神祭の起源

2023-04-17 15:06:32 |  久伊豆大雷神社

月明け五月四日に予定されている神事「疫神祭」。江戸期から疫病除けとして田んぼの作業が始まるころ、村の三か所の入口を祓い、「疫神除神璽」の神札を立てて回ることが形として現在も残る。平成初期まで神輿を担ぎ、各個宅で祓いを行い、ともに回る氏子の列を持てなしていたが、少子化、過疎化の波によって神事の形態としてはかなり簡素化している。

今年一月、ある氏子宅に戦前の疫神祭の様子が残るということで写真を見せてもらうことができた。代々続く旧家で神社とのかかわりあいも長い。写真のように正装した神職と随行する氏子の姿が印象的だ。明治期なのか昭和に入ってのものか判断できないが、間違いなく疫神祭の写真である考えている。

神輿に乗せた御神体を担いだのはおそらく現在の神輿からで戦後の話なのではないだろうか。辻祓いの神璽札については祭りの始まりまで遡ることになると思う。では疫神祭にとって最も重要なことは何だったのだろうか。当時の写真に茅葺屋根の高さまでひらめく五本の幟が見える。「五色旗」と呼ばれるものだ。これは近年まで現存していて、旗の劣化で使用しなくなったが、代わりに五色の幣束として神事に掲げられている。

五色は陰陽五行の五行を表すものですべて万物はこの五行の陰陽の組み合わせで成り立っていると考えられている。

青・赤・黄・白・黒(紫)すなわち木・火・土・金・水。五常に当てはめると仁・礼・信・義・智となる。

五月と言えば鯉のぼりを思い出されるが、鯉の上にたなびく「吹き流し」もこの五色が用いられ、「魔除け」としての意味があるという。

疫神祭においては、新緑の樫の枝に紙垂を付けて祓いとしている。

当然田んぼに水がはいり農作業が始まれば、人の動きも活発となり水や人の手を介した疫病も流行ったのだろう。よってこの時期の農作業から「苗代祭り」とも呼ばれている。

この時期水もさることながら、風が吹くことが多い。風薫る五月というが疫病も運んできたことだろう。また疫病でありながらまたそれを「疫神」としてとらえ恐れ鎮めようとする神道的感覚を伝えていかなければならないと思っている。

神は万物に宿る(森羅万象と八百万の神)。神と土地とともに今を歩む(氏神信仰と今中思想)

風薫る五月まであとわずかだ。

 

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卯月の散歩道

2023-04-17 12:14:47 | 日記

統一地方選挙後半戦を迎え、市長、市議会とも激戦となりそうな一週間が始まりました。地区内の選挙候補者掲示板前を歩きながら、隣地区の城西公園まで歩きます。

月曜日の昼前ということで風も強いせいか誰もいない公園の残りの桜を堪能しました。

遊ぶ子供のいない遊具は少し寂しそうですが、つい五年前くらいまでは自分の子供と一緒に遊んでいました。

途中道端にはクローバーの茂みがあり、よく探すと四つ葉も見つけられます。人の生活リズムは様々で、自分たちのペースでこれからも歩いていければよいと考えています。

地区内のお宅の藤の花もきれいでした。年々樹勢を拡大しているようで屋根の高さまで紫の可憐な花が広がります。

以前と比べると選挙の街宣カーが減っているでしょうか。途中2台ほどすれ違いましたが、さほどにぎやかさはありません。それとも戦略の変化でしょうか。どうしても名前の連呼となってしまう街宣カーを回すより特定の場所で街頭演説等に注力しているように感じます。

自宅のつつじも所々色づき始めています。選挙が過ぎれば立夏を迎えます。四季の巡りは早いものです。立ち止まっている間はなかなかありませんね。

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蓮の御奉納

2023-04-16 15:24:11 |  久伊豆大雷神社

弥生も終わりの30日、行田市蓮の大使木暮照子先生より久伊豆大雷神社社頭に4株の蓮をご奉納いただきました。人形作家、蓮の大使等多くの文化活動を通じ、行田市のみならず全国を巡りながら幅広く社会貢献をされていらっしゃる木暮照子先生。2年前に郷土博物館でお目にかかって以来、私の本務社である皿尾の神社にも大変お心をお寄せいただき、地元の氏子さんにも蓮の花のすばらしさを伝えたいとの思いから、このような立派な蓮の鉢とともに、咲いたときの蓮の色をイメージして蓮の配置、また奉納札を一式ご奉納いただきました。本殿向かって右から「白光連」(白)「小舞妃」(桃色)「紫気逢來」(紅)「太白連」(白)という配置を頂き、黒土と田んぼの泥を合わせながら丁寧に植え込みを行いました。

植え込みにはご主人で生物学者の木暮桂先生が境内までお越しくださり、水の量や土の粘土まで直接ご指導くださいました。

植え込みを行いながら、桂先生にお仕事のことや教育のことなどお話をお聞かせいただき、またご子息様、お嬢様とも私の高校の先輩に当たるということで非常に身近に感じられ、仕事の上での激励もいただきました。

桜舞う皿尾城にてこうした貴重な蓮の手植えをご一緒させていただいたことを大変ありがたくもまた深いご縁を感じます。照子先生に教えていた蓮の言葉「泥に咲き、泥に染まらぬ蓮の花」といふのがとても好きで大切にしているつもりでおります。

生きる時代や環境がどんなに厳しくとも、誇りをもって美しい花を咲かせよう

感謝の言葉は尽きませんが、この神社や氏子区域に私自身が尽力することでこうした御恩にこたえて参りたいと思っています。

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花梨の花咲く季節

2023-04-15 14:27:11 | 暮らしと植物

境内地に一本花梨の木が立っている。隣接する私の自宅にもう一本あり、秋には黄色い実をつけてくれる。完熟したかりんの実は独特の香りを放ち咳止めの効果もあることから健康に良い果実として重宝されてきました。40年前頃には神社参拝者から分けてほしいとの声が多く、喜んでお持ち帰りしてもらったものです。

かりんの原産地は中国で古くから薬用や観賞用として利用されていました。日本には平安時代に渡来したといわれ、同じく薬用としてその実を蜜付けなどにしてきたようです。果肉が固く渋みもあることから生食には向かず、その効能を漬けることによってエキスを利用してきたのです。

桜の季節と同じころに咲く淡いピンクの花弁は可憐で新緑に映えます。「花梨」の花言葉は「豊麗」。豊かで麗しい花から、秋には芳醇な香りの立派な実をつけてくれるのです。

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