水無月といえば梅雨。祝日もなく、イベントは父の日に限られ、集客企画も限られる。仮に時の記念日(6月10日)が祝日になったとしても、何をどう販売につなげたらよいか皆目見当がつかない。百貨店やスーパー、CVは既存店前年比を超えるのだろうか。
かといってEveryDay Low Priceを闇雲に押し進めてしまえば、価格競争の消耗戦になってしまい、働き手にとってはあまり良い事ではない。商売である以上働く従業員も幸福感を得られなければ会社は継続できない時代。
『良い品をより安くそれこそが〇〇の誇りである』私が新卒で入った企業の社訓の一つであったが、今思えば流通業にとってこんな矛盾はないと思う。やはり良い品にはそれなりの価格を付けるべきだ。
月初めの休日に群馬県前橋市にあるコストコまで足を運んだ。近年人気の米国資本の小売り業だ。
COSTCO WHOESALE と名付けられたように会員制倉庫型卸販売の業態で、買い物には会員資格と年会費が必要。申し込みの際には顔写真付きの会員証が発行され、家族会員も登録できる。つい年会費に対して元が取れるか考えてしまうが、後学のため付き添ってしまった。
入り口できちんと会員証の提示を求められる。また出口では大型カートの買い物荷物とレシートの照合が行われる。昨今の大型スーパーや百貨店などの通り抜け窃盗(万引き)のリスクを考えればこうした入退店の方式は有効だ。平日の月曜日、また雨が降っているにもかかわらず、多くの顧客が訪れていた。
ショッピングカートの大きさに驚いてしまう。カインズやケーヨーなどといったHCなどのカートより一回り以上大きい。しかし押しづらい、少量では商品が取りづらいなどとかんじてしまう。但し多くの客がカートいっぱいに商品を詰めていたのにも驚く。
SNSなどで「コストコランキング」といったものが取り上げられている。芸能人御用達商品もあるようだ。
一例をあげるとこのディナーロール。多くの客がカートに入れている。我が家も買って食べたが本当に美味しかった。賞費期限は製造後恐らく4日だったが、確かに期限まで程よい食感で味も良かった。
1500gのティラミス。通常では絶対買わないが、なんとなく店の雰囲気に流されて買ってしまう。しかも帰宅後玄関で落としてしまい、蓋が割れてしまう。しかし中学の娘は大喜びで食べていた。
現在日本のコストコは全国で26倉庫を展開している埼玉では入間と新三郷のの2店で、私の自宅からだとここ前橋の方が近い。
人づてにかつて菖蒲のモラージュが出店の際、本来コストコの誘致があったが地元が差し替えたと聞いている。
支払は現金、プリペイドカードのほかにクレジットカードが使えるがマスターカードのみ可能。高額な年会費を徴収してまで会員制にこだわる方が、顧客の満足度が高揚するように思う。顧客が店を選ぶと同時に、顧客が店に選ばれている感覚。不自由さの中に自分だの価値を見出せる買い物を演出している。だから商品保証と年会費保証がある。満足感が得られなければ年会費も買い物の商品も顧客都合で返金保証が付く。
商品の陳列は基本パレット積みで、コンテナ次々入荷するスタイルだ。宝さがし感が得られるのか、明らかに不要不急の物もカートに放り込みたくなってしまう。多くは家族連れでおひとり様は少ないように見えた。
買い物の後にイートインスペースで軽食が取れる。飲料とメインのホットドックは破格の値段だ。スタイルはIKEAとほぼ同じ。広すぎる売り場を歩いてくると普段歩きなれている人でもかなり脚が疲労する。
感じたことは小売業のスタイル(販売形態)は常に変化し、流行りのサイクルが早いということ。商品自体の価値の演出に力を入れるべきであること。商品価値は万人に共通するとは限らない。宝さがし感が大事なのだと思う。
SNSを通じた広告戦略はこれからも続くだろう。でも10年後にはそうした手法も変わっていくはず。流通業こそ、その名の通り常に流れ変わっていく業界であるのだから。