皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

行田市民大学合同講演会~孫世代につなぐ食習慣

2020-01-23 20:45:32 | 生涯学習

  あいにくの曇り空となりましたが、行田市民大学・同窓会合同講演会に参加しました。場所はものつくり大学講堂です。9期生として昨年3月に卒業して以来、市民大学の講義に出席するのは初めてです。懐かしくまた久しぶりの機会を楽しみにしていました。

市民大学卒業後は同窓会に登録し、自分たちのグループにて活動する一方、企画研修委員会に所属しています。市民大学同窓会は企画研修委員会のほかにも広報交流、クラブ活動委員があり、事務局と共にそれぞれの担当業務をもって年間の活動をしています。企画研修委員会にとって今日の講演会は年間の最大行事で講師の選定、日程調整、チラシの作成案内等進めてきました。私はほとんど活動に参加できませんでしたが、講演会当日は、受付と駐車場の案内をお手伝いさせていただきました。

講演会の講師を務めていただいたのは行田市薬剤師会会長、鹿山高彦先生です。行田市長野にて土橋薬局を開業していらっしゃいます。また薬物乱用の防止指導員協議会会長、行田市教育委員会の委員も兼務していらっしゃいます。

講演のテーマは「健康と食事」~孫の世代につなぐ食習慣~ということで2時間の講演でした。市民大学の受講はご高齢の方も多く、こうした健康に関する講演は人気が高いようです。平均寿命と健康寿命の差をなくし、生涯健康で活動していく。こうした事が市民大学の目標とするところでもあります。在学中の講座でも健康に関するものは数回取り上げられていましたが、薬剤師である鹿山先生の講演は、食事を栄養素の観点から解説するもので、非常に興味深い内容でした。

 健康の観点から

①摂ってはならないもの タバコ、電磁波、酒など

②摂っても無駄なもの コラーゲン

③より摂るべきもの 鎂 

鎂と書いて「マグネシウム」と読むそうです。元素記号ではmgです。疲れやすい、ストレスが多いと感じる。イライラする、偏頭痛があるなどの症状の原因の一つにmg不足が考えられるといいます。一方生活習慣病の原因となるものは砂糖の過剰摂取といいます。

コーラ500mペットボトルに含まれる砂糖の量を表すと写真のようになるそうです。WHOによる成人の砂糖の必要量は25g。こうした事実を親世代の人が良く理解することが大切です。但し近年流行している糖質制限ダイエットは、健康面からすると良くないことだといいます。糖質は生物が生きる上でのエネルギー源となるもの。一方脂質やたんぱく質は血液や筋肉を構成する物質であって、糖質を制限することによりそれらがエネルギーとして燃焼させられてしまうと、水と二酸化炭素以外の物を体内で生成放出してしまい、全くの逆効果。炭水化物を制限してエネルギーをタンパク質、脂質で代用すると死亡率が上昇するデータがあるそうです。

 ではダイエットに効果的なことは何か。それは悩むことだそうです。脳はその活動にエネルギーとするものはブドウ糖のみ。またその重さは体重の僅か2%しかないことから、糖質の摂取率が高い。よって仕事、恋愛、自分の将来など何につけても悩むこと、頭を使うことが結果的にダイエットになるそうです。

昔の人の教えに「遠くて近きを食べよ」というそうです。近きを食べるとは所謂地産地消のことで現在では積極的に推奨されています。「あなたの隣が産地です」というのはJAのキャッチフレーズです。では遠きを食べるとはどういうことか。これは人としての縁の遠いものを食べよという教えだそうです。食物連鎖によるもので最たるものは「共食い」は倫理的ではなく、種の近いものを食することにより弊害が発生することを指します。種の保存の観点からそれを制御する指示をDNAに残しているそうです。よって人にとっては牛、豚、鳥、魚、野菜。人間の種に遠いものの方が、たんぱく質の摂取の上で効果的と言われます。

 最も印象に残った話は狂牛病の発生原因について。

狂牛病とは1986年にイギリスで発見された牛海綿状脳症と呼ばれる家畜の病気のことで、牛の脳がスポンジ状となる感染症。私は当時中学生でした。原因となったのは飼料として与えられていた汚染肉骨粉と考えられています。不明な点も多いそうですが、草食である牛に飼料として「共食い」ともいえる肉骨粉を使ったことであり得ない症状が発生したと言えます。しかもイギリスはその汚染肉骨粉を自国で規制がかかった後にも、他国(日本も含めて)に輸出していたそうです。これが自由貿易の弊害ともいえます。

 このほかにも遺伝子組み換え食品がもたらす問題、携帯電話使用における電磁波の問題、電子たばこをめぐる問題など、身近に感じられる健康と食品、生活習慣、日本の食糧自給といったテーマにまで言及されたいらっしゃいました。

Your life your hands

三十年後にならないと結果の出ない食物の研究をする人はいない。あなた自身が考える時だ。

そう結んで講演を締めくくられました。

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忍中学の名を誇れ

2019-12-10 20:40:37 | 生涯学習

 行田市立忍中学校のPTA活動の一環として第三回家庭教育セミナーが開催されました。場所は行田市水城公園にある忍公民館です。子供の中学校生活も折り返しを過ぎ、いよいよ来年は三年生。楽しい中学校生活を過ごしているようですが、将来のことについて具体的に考える時期に差し掛かっています。親としても気をもむ年頃ではありますが、目先のことにだけとらわれず、広い視野を持って学校ともかかわっていきたいと感じています。今日のセミナーの講師は外部委託ではなく、校長先生が務めてくださいました。春からの学校通信を読んできましたが、その中で忍中の校歌が先生自身がとても気に入っていらっしゃり、特に最後の句「忍中学の名を誇れ」と言えるような教育をしていきたいと書かれていました。

平日の午後ということもあり、参加者は10名と少なめですが篠田校長先生は事前準備をされて講演に臨まれていました。講演のテーマは「より良い社会を創造するために」~家庭と学校から考える~ということでした。

今では公立中学校においてもHPが開設され、学校の歴史や沿革、教育目標、学校での活動までリアルタイムで見られる時代です。昭和22年学校改革によって忍町立第一中学校として設立された忍中学校。市立制として昭和24年には行田市立第一中学校(第二が行中、第三が長中)となります。昭和60年(1985)西中学校と分かれるまで、在校生1000名を超えるマンモス校でありました(私は昭和60年4月入学)。平成9年には創立50周年を迎え、玄関前に記念のブロンズ像が建てられています。両手で何か抱えるようにして立つこの像は「自分の夢や希望」を持つことを表しているそうです。また同年この像の下にタイムカプセルが埋められて、2047年3月には開校100周年として開けられることになっているそうです。(このことを知っていた職員は校長先生だけだったそうです)

 これからの子供たちが身につけるべき力は何か。時間軸で言えば私たち大人は今を生きている。一方で子供たちは未来に生きる。30年後の社会を想像することを求められました。すぐには思いつかないものです。反対に30年前はどういう社会だったかは思いだすことができます。

時代が昭和から平成へと変わり、ポケベルやPHSが普及し始め、ソニーやPanasonic、SHARPといった家電がその技術でしのぎを削った時代。人口が減ってゆくことなどイメージできない時代でした(バブルははじけていましたが)。自分が大学生の頃です。情報化社会(IT)時代の草創期だったのでしょう。

これからはソサエティー5.0の世界を迎えるといいます。人類にとって五段階目となる新しい世界。人類の誕生から狩猟、農耕、工業、情報社会を経て、今からは高度な先進技術によってあらゆる課題が解決されていく社会になるそうです。私たちからすると情報(IT)社会はついこの間始まったばかりだと感じてしまいますが、AI(人工知能)、ビックデータといったこれまで考えられなかった技術により、社会は我々の予測を超えて進展するそうです。

 別の公演で聴いた話では、日本史で言えば律令期から平安貴族社会、武家社会、中世戦国、江戸期といった800年から1,000年くらいの時間をかけて変化してきたことが、たった数十年単位で変化してしまう時代。時間という物差しの尺度がまったく違うのでは人の本質にも影響すると聞いたことがあります。

 30年後には教科書をもって学校へ行く時代ではなくなっているでしょう。AIがなんでも解決してくれる時代。人が必要とされなくなってしまう時代。私が働く流通小売り業においても同じように、人の手を掛けない仕組みが進みつつあります。今日たまたまいったUNIQLOのレジに並んで(いやならばない)タグが通過しただけで商品を判別されてしまうことに驚いてしまいました。

では30年後に求められる力はなんなのか。人は自ら目的を持ち、その目的に応じて情報を仕分け、答えのない課題に対して他者と協力して生き抜くことが出来る存在だといいます。情報処理や唯一の答えを膨大なデータから求めるコンピューターとの違いは、意志をもって行動できることだといいます。簡潔にいえばまさに「人間力」これこそ30年先に生きる上で必要な力なのです。

その人間力を磨く基礎となるべき義務教育期間は、公立で入れば住んでいる区域で分かれる地域割りがとられています。私立全盛と叫ばれる時代の中で公立学校の強みとその役割は何なのか。それは偶然が生み出す可能性は計り知れない事です。たまたま同じ時代、同じ区域に住んだ者同士が結ばれることでしか磨かれることのできない力があるというのです。勿論私立の様に同じ目的、学力レベルの子供たちが競いあうことで生まれる力も大きいのでしょう。でも偶然出会えた奇跡の力を信じたい。そのためには他者を認め尊重する気持ち、多くの人が共同で時間を過ごすことに必要なルールやマナーを順守するしつけが重要です。

 忍中学校の体育祭は団制が敷かれ、力の限り仲間を応援し、結果にかかわらず団長はその最後に涙を流すそうです。人を応援する力はAIにはまだ備わっていないといいます。ラグビー日本代表の様子を見ればわかります。

「認め合い、高め合い、支えあう」人によって人は成長するそうです。学び続ける自分、成長し続ける自分、信頼される自分、この三つを心の中に抱き続けることができれば、人も道に外れることはないそうです。

 最後に校長先生自ら、自分の学生時代の成績や生い立ちまでお話しくださいました。

まとめに私たち保護者に対して投げかけてくださいました。「子供に夢を背負わせておいて、自分は何も背負わないのはもったいない」

30年後の未来のためにいくつになっても「自治、共同、勤勉」の校訓を忘れないでいたいと思います。

 

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秋の横須賀研修旅行~忍藩とペリー来航ゆかりの地

2019-09-29 22:23:59 | 生涯学習

去る9月25日水曜日、行田市民大学同窓会研修バスツアーに参加することができました。現在行田市民大学は開校11期となり、9期生卒業の私も今年から同窓会の一員で、企画研修委員会に属しています。毎年秋に研修旅行を実施しており、今年は「忍藩とペリー来航ゆかりの地 横須賀へ」というテーマで企画されました。大型バス1台の募集で、参加者50名。昨年まではバス2台で行っていたそうですが、今年は1台での企画ということで、先着順での参加となりました。残念ながら、私のグループの方も御一人先着に漏れてしまい、グループ全員での参加はかないませんでした。

行田総合公園を7時に出発し、目的地横須賀に入ったのは11時です。平日の首都高速は午前中かなり混雑します。

大黒PAで最終休憩して、最初の目的地ペリー記念館に到着します。

江戸時代の日本は歴史の教科書にあるように鎖国体制にありました。ところが18世紀半ば以降、数々の異国船が日本近海に現れ、江戸幕府は対応を迫られることになります。こうした状況下で、徳川家康の血筋を受け継ぐ忍藩主松平下総守家は、天保13年(1842)に房総半島の沿岸警備を命じられます。譜代大名としての立場から、こうした幕府の危機に最前線で対応していたことが分かります。

泰平の 眠りをさますじょうきせん たった四はいで 夜も眠れず

当時の驚きを表した句も見られます。

ペリー提督はこのすぐ前の砂浜から上陸したと伝えられ、1901年(明治34年)其の足跡を称える記念碑が建てられています。「北米合衆国水師提督伯理上陸記念碑」の文字は初代総理大臣伊藤博文の揮毫によるものです。立派な記念碑ですが、第二次世界大戦中においては、敵国米国を記念するものとして、壊された歴史があるそうです。

第二の目的地は記念艦「三笠」の見学です。

日露戦争はロシアの極東進出によって国家の存亡の危機に直面した大戦で、東郷平八郎司令長官が率いる連合艦隊が、対馬沖においてバルチック艦隊ろ迎え討ち、勝利したといいます。「三笠」当時最新鋭の戦艦で、戦後紆余曲折を経て、現在の横須賀の地に記念艦として保存されています。英国「ヴィクトリー号」、米国「コンスティテューション号」と共に世界三大記念艦として広く知られるところです。

旅の終わりに蛯名SAにより、都心を通らず、圏央道を使って東松山から行田までたどり着きます。

日帰りのバス旅行ですが、多くのことを学び同窓会の皆さんと楽しい一日となりました。企画した広報委員の皆さんは、事前の下見や諸連絡と、大変な準備をされていたようで、本当に感謝しています。

 

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行田市民大学同窓会~城址の風神社史跡めぐりの旅②

2019-06-06 21:18:03 | 生涯学習

行田市民大学9期生同窓会「城址の風」として2回目の神社史跡めぐりの旅に出かけました。6月とはいえ既に最高気温は30度を超える中、車での移動ではありますが、一日かけ加須、栗橋、鷲宮と巡ってきました。目的地は出雲族の草創に関わる関東最古といわれる鷲宮神社です。

 単に有名神社を巡ることを目的とせず、在学中からの研究テーマである「地域に眠る逸話伝承追う」ことを念頭に今回はグループ5名の1日旅となりました。

行田総合運動公園を出発して約1時間。最初の目的地は栗橋宿総鎮守八坂神社です。利根川の流れに乗って神輿が流れ着いた伝承があります。水に浮く神輿を群がって支えていたのは鯉と亀であったといい、神使は鯉として狛犬の代わりに石像が社殿の前に建っています。

また栗橋町は源義経公の愛した静御前終焉の地として知られ、駅前には静御前の墓碑が建てられています。私も今日初めて行くことができました。行田からそれほど遠い場所ではありませんが、なかなか行く機会もなく、こうして親しい仲間と史跡を訪れることができるのはうれしい事でした。

鷲宮での昼食後、近くにあるポピー畑で花摘みをすることができました。

歴史や自然に触れる喜びもともに旅する仲間がいてこそだと実感した一日でした。

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笑顔と感謝の卒業式

2019-03-07 22:19:13 | 生涯学習

平成30年度行田市民大学9期生卒業式がものつくり大学にて行われました。二年間慣れ親しんだキャンパスとも今日でひとまずお別れとなります。生涯学習の名の下、多くの市民講座が開かれ学びと共に、仲間づくりを推進しています。わたしがこの市民大学に入学したきっかけは平成28年末、行田市総合体育館の廊下にて募集のポスターを目にしたことがきっかけです。普段平日休みの販売業の現場にて働いていますので、なかなか地域の活動に参加する機会がありませんでした。運動会、自治会活動などせっかく地元にいながら兼務する神社の祭事以外に地元の活動に参加する機会が少ないのは残念なことでしたが、幸いなことに市民大学の講座開催日と、自分の公休日が重なっていたため、思い切って参加することにしました。

 以前にも記しましたが、行田市民大学は開校10年を過ぎ、市役所の公的生涯学習から自立し今村理事長の元、NPO法人として自主運営をしています。勿論市の教育委員会の支援等を受けますが、講師の依頼会場設営、運営費の管理など運営部の皆さんの尽力と学生一人一人の参画によって成り立っています。座って公演を聞くだけではありません。卒業認定も講座の7割の出席が求められます。家庭の事情やご自身の健康問題等で、卒業までたどり着かなかった方も数名いらっしゃいます。

卒業にあたり市民大学の基本理念を振り返ります。

希望に満ち活気あふれる明るい街づくりには市民一人一人が「志」を持って自ら学ぶことにより、見識を高め能力を磨き、自主的に行動することが求められています。市民大学は多くの市民に生涯学習の場を提供し、一人一人が輝き、豊かな地域社会づくりに貢献することを目的とします。

①「自ら学ぶこと」は、楽しいことです。

②「共に学ぶ仲間にであえること」はうれしいことです

③「学んだことを日々の暮らしや地域に活かすこと」は素晴らしいことです。

参加者の多くは所謂定年を迎えられた年配の方が中心ですが、郷土史、社会保障、健康といったテーマについて学ぶことに年齢は関係ないと感じていました。むしろ私の年代(40代)の人の方がこうしたことに自ら進んで学ぶ必要性を感じています。

2年間ご一緒させていただいた歴史文化グループの女性陣です。班内では女性陣ではなく「三人娘」と言っていつも笑顔で話していました。この市民大学がご縁でとても仲良くなっていました。

私を含め男性陣です(写真を撮ってくださった清水さん写せずごめんささい)特に班長さんは埼玉地区の自治会長をされていらっしゃり、今度の埼玉火祭りでは大役をされるそうです。父親に近い年齢の先輩方とお付き合いさせていただき、お世話になっただけでなく、こうして穏やかに年齢を重ねてこられたことをうらやましく思います。

歳は取るものではなく重ねるもの。重ねた年齢の分だけ人として心が広く穏やかになる。そういう人生を送りたい。見習いたい。そんなふうに感じています。

卒業後も不定期ではありますが、神社や史跡を訪ねながら郷土を学び楽しくまた末永くお付き合いいただくことを約束し、思い出のものつくり大学を後にしました。

また理事長さまを始め運営部の皆様、二年間ご一緒させていただいた9期生の皆様に感謝申し上げます。

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