花の四日市スワマエ商店街

四日市の水谷仏具店です 譚

昭和時代のお正月 その3

2005年12月06日 | レモン色の町
昭和36年1月2日。布団の中で先日壊れた百連発のコルト銃をいじる。直そうとすればするほどバラバラになってきた。頭に来ているところへ、いとこの博ちゃんが遊びに来た。
イラはご機嫌が悪い。二人でボーリングゲームをして遊ぶ。直径10センチぐらいの木の玉をピンにあてて倒す。運動神経がよくないので博ちゃんに負けてばかりだ。おもいきり転がした玉が博ちゃんにあたった。怒って帰ってしまった。まあ、しかたないか。
正月になると、座敷の8畳には赤い毛氈がいっぱいに敷かれる。うまくしたもので、これでお正月気分がぐっと盛り上がる。うれしいので姉ちゃんと毛氈の上を転げまわった。戦前は、ハレの火には屏風を立てたりして、何らかの模様替えでその日を迎えたらしい。その頃の名残だ。毛氈も隅がほころび始めている。
の横で香具師が手品をしていた。15センチほどの板の上に10円玉を置いてお猪口をかぶせる。一振りするとその10円は消えていた。また一振りすると10円玉が出現する。出たり消えたり自由自在だ。
れはいい貯金箱になると50円はたいて買ってきた。板に碁盤の目状に筋が入っていて、下から指で押し上げると板の真ん中が回転してコイン1枚が入る隙間があった。何枚も入るような気がしていたが、結局1枚しか入らなかった。お姉ちゃんの前でやって見せたが、簡単に見破られてしまった。
っこいしょ」という香具師も店を出していた。もち花1個に紙切れが入っている。これが当たりだ。10個くらいのカスと一緒に箱に入れ、客の前で転がす。ゆっくりまわすのでよく見ていると当たりが分かるようだ。
い間見ていると、お客の中にいつも同じおじさんがいることを発見した。あれがサクラやに、とおっかあから教えられた。後で前を通ったら香具師のおじさんとサクラのおじさん二人が、いつまでも「どっこいしょ」をしていた。
は茶碗蒸しが出た。大きな器に茶碗蒸しがぎっしりだ。食べ過ぎてゲップが臭いと思ったら戻した。それからは、銀杏が嫌いになった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする