(1)会場
倉吉博物館(鳥取県倉吉市仲ノ町3445-8)
(2)会期
2013年4月13日(土)~5月12日(日)
(3)入場料
当日:一般 700円
(4)「ジュディ・オング倩玉 木版画の世界展」
(5)「ジュディ・オング倩玉 木版画の世界展」の楽しみ方
歌手・俳優のジュディ・オングは、「ジュディ・オング倩玉」の雅号をもつ版画家でもある。日本版画院展に何度か入選しているほか、日展に13回入選、特選1回の画歴がある。
ジュディ・オング倩玉作品の2大テーマは、花と日本家屋だ。
花は母親の影響らしい。母親が花をこよなく愛したからだ、と述懐している。幼少の頃からたくさんの花々を観てきたが、<ある時、花にも“美人”がいることに気づきました>【注1】。この発見が、後に自ら創る人になる基盤となった。
日本家屋への関心は、建築家である兄の影響が底にあるらしい。そして、日本家屋に対する関心が目覚めたのは22歳のとき撮影のため京都へ赴いてからだ。個性をもった家々を見てまわるうちに、「べた掘れ」してしまった。<世界の何処を歩いていても山は山、川は川、空は空、人は人で皆なんとなく似ているところがあります。でもその土地とちが生んだ古来からの建物だけは違うんですね。もちろん文化の流れで似たような形の物を観ることはありますが、全く同じという事はきわめて稀です。日本家屋というのは、大和民族が日本の気候風土、食文化、生活文化のすべてに適応する、無駄を全て削ぎ落とした、美しい最高傑作だと私は信じています。魔除けの鬼瓦、夏涼しく冬暖かい茅葺屋根、格子窓、障子、襖、縁側、雨に強い甍屋根、どれも本当に美しいものです。またその合理さには目を見張るものがあります。例えば、襖障子が閉まっていれば小部屋になり、全部開け放てば大広間になる。そして、そのコンパクトな造りにも驚かされます。例えば、(中略)入口横に畳み込まれた縁側のような椅子、これも生活から生まれたのでしょう>【注2】
花にも“美人”があることを発見した版画家の目は、現代日本人の大多数が自覚せず、あるいは忘れ去ってしまった日本家屋の美、そして合理的機能を再発見している。
日本家屋との出会いが京都であったからか、倩玉は京都の日本家屋をたくさん描いている。これは逆にいえば、「ジュディ・オング倩玉 木版画の世界展」は、版画の日本家屋を介した京都案内としても観ることができる。
「昼下り」(1977年)・・・・茅葺屋根と縁側
「夏天涼風」(1978年)・・・・古い民家と庭
「揚屋」(1985年)・・・・揚屋「角屋」
「芳香春暖」(1996年)・・・・揚屋「角屋」の「扇の間」
「雨過苔清」(1999年)・・・・左京区下河原町の数寄屋づくり「清流亭」の客間【写真 上】
「小庭雅緑」(2000年)・・・・「清流亭」の玄関から入って左手にある小さな部屋
「山門迎福」(2002年)・・・・伏見の長建寺
「京華春翠」(2003年)・・・・茶店の表玄関と前庭
「祗園白川」(2004年)・・・・祗園白川の散歩道【写真 中】
「銀閣瑞雪」(2006年)・・・・雪の銀閣寺
「秋訪」(2007年)・・・・大徳寺
「涼庭忘夏」(2008年)・・・・南禅寺付近の湯豆腐屋「順正」の玄関口【写真 下】
「蓮池飛石」(2009年)・・・・平安神宮の池
「廊橋浅秋」(2010年)・・・・東本願寺の別廊、渉成園枳殻邸の「回棹廊」
「銀閣後庭」(2012年)・・・・銀閣寺
【注1】ジュディ・オング倩玉『倩玉的世界木版画集』(株式会社ヒーモリ、2013)
【注2】前掲書
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【参考】
「【旅】美の響演 関西コレクションズ」
「【旅】松江 ~須田国太郎を追って~」
「【旅】エル・グレコから宮永愛子まで」
「【旅】復興を絵画で表現できるか ~平町公の試み~」
「【旅】彫刻の街 ~鑑賞者の存在意義・考~」
「【旅】島根県立美術館 ~震災復興支援特別企画 ふらんす物語~」
「【言葉】手のなかの空/奈良原一高 1954-2004」
「【旅】オーストリア ~グラーツ~」
↓クリック、プリーズ。↓
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倉吉博物館(鳥取県倉吉市仲ノ町3445-8)
(2)会期
2013年4月13日(土)~5月12日(日)
(3)入場料
当日:一般 700円
(4)「ジュディ・オング倩玉 木版画の世界展」
(5)「ジュディ・オング倩玉 木版画の世界展」の楽しみ方
歌手・俳優のジュディ・オングは、「ジュディ・オング倩玉」の雅号をもつ版画家でもある。日本版画院展に何度か入選しているほか、日展に13回入選、特選1回の画歴がある。
ジュディ・オング倩玉作品の2大テーマは、花と日本家屋だ。
花は母親の影響らしい。母親が花をこよなく愛したからだ、と述懐している。幼少の頃からたくさんの花々を観てきたが、<ある時、花にも“美人”がいることに気づきました>【注1】。この発見が、後に自ら創る人になる基盤となった。
日本家屋への関心は、建築家である兄の影響が底にあるらしい。そして、日本家屋に対する関心が目覚めたのは22歳のとき撮影のため京都へ赴いてからだ。個性をもった家々を見てまわるうちに、「べた掘れ」してしまった。<世界の何処を歩いていても山は山、川は川、空は空、人は人で皆なんとなく似ているところがあります。でもその土地とちが生んだ古来からの建物だけは違うんですね。もちろん文化の流れで似たような形の物を観ることはありますが、全く同じという事はきわめて稀です。日本家屋というのは、大和民族が日本の気候風土、食文化、生活文化のすべてに適応する、無駄を全て削ぎ落とした、美しい最高傑作だと私は信じています。魔除けの鬼瓦、夏涼しく冬暖かい茅葺屋根、格子窓、障子、襖、縁側、雨に強い甍屋根、どれも本当に美しいものです。またその合理さには目を見張るものがあります。例えば、襖障子が閉まっていれば小部屋になり、全部開け放てば大広間になる。そして、そのコンパクトな造りにも驚かされます。例えば、(中略)入口横に畳み込まれた縁側のような椅子、これも生活から生まれたのでしょう>【注2】
花にも“美人”があることを発見した版画家の目は、現代日本人の大多数が自覚せず、あるいは忘れ去ってしまった日本家屋の美、そして合理的機能を再発見している。
日本家屋との出会いが京都であったからか、倩玉は京都の日本家屋をたくさん描いている。これは逆にいえば、「ジュディ・オング倩玉 木版画の世界展」は、版画の日本家屋を介した京都案内としても観ることができる。
「昼下り」(1977年)・・・・茅葺屋根と縁側
「夏天涼風」(1978年)・・・・古い民家と庭
「揚屋」(1985年)・・・・揚屋「角屋」
「芳香春暖」(1996年)・・・・揚屋「角屋」の「扇の間」
「雨過苔清」(1999年)・・・・左京区下河原町の数寄屋づくり「清流亭」の客間【写真 上】
「小庭雅緑」(2000年)・・・・「清流亭」の玄関から入って左手にある小さな部屋
「山門迎福」(2002年)・・・・伏見の長建寺
「京華春翠」(2003年)・・・・茶店の表玄関と前庭
「祗園白川」(2004年)・・・・祗園白川の散歩道【写真 中】
「銀閣瑞雪」(2006年)・・・・雪の銀閣寺
「秋訪」(2007年)・・・・大徳寺
「涼庭忘夏」(2008年)・・・・南禅寺付近の湯豆腐屋「順正」の玄関口【写真 下】
「蓮池飛石」(2009年)・・・・平安神宮の池
「廊橋浅秋」(2010年)・・・・東本願寺の別廊、渉成園枳殻邸の「回棹廊」
「銀閣後庭」(2012年)・・・・銀閣寺
【注1】ジュディ・オング倩玉『倩玉的世界木版画集』(株式会社ヒーモリ、2013)
【注2】前掲書
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【参考】
「【旅】美の響演 関西コレクションズ」
「【旅】松江 ~須田国太郎を追って~」
「【旅】エル・グレコから宮永愛子まで」
「【旅】復興を絵画で表現できるか ~平町公の試み~」
「【旅】彫刻の街 ~鑑賞者の存在意義・考~」
「【旅】島根県立美術館 ~震災復興支援特別企画 ふらんす物語~」
「【言葉】手のなかの空/奈良原一高 1954-2004」
「【旅】オーストリア ~グラーツ~」
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