(1)福島第一原発事故に係る国の処理と責任の組織体制が、曖昧なまま放置されてきたことが明らかになった。
(2)8月8日、参議院議員会館で、緊急集会と政治交渉「海を汚さないで! 再稼働よりも放射能汚染対策に注力を!」が開催された。
主催は、環境NGOのFoE Japan、市民団体の福島老朽原発を考える会など10団体。
政府側からは、資源エネルギー庁、原子力規制庁、環境省、外務省が出席した。
資源エネルギー庁と原子力規制庁はそれぞれ事故に対応している。資源エネルギー庁は収束作業の方法などを東電とともに決定する監督者の立場、原子力規制庁は安全確保や規制への適合を監視する立場だ。
では、今後汚染水の流出を止められなかった場合、どちらが責任者になるのか。管轄はどうなっているのか。
集会でこう質問されると、担当者たちは顔を見合わせてしまった。会場がどよめく中、資源エネルギー庁の担当者が、「申し訳ない。明確に答えられない」と謝った。
(3)原発事故の収束作業は内容が多岐にわたり、縦割り行政の中では対処が難しい。そのため、事故直後には「超法規的措置」的な統合対策室を設置し、政府が東電の監視を強化した。
しかし、収束宣言(2011年12月16日)により統合対策本部は解散。
後継組織として、中長期対策会議(現・廃炉対策推進会議)を置いた。しかし、事務局を担当する資源エネルギー庁の責任者が半年から1年で異動していることが端的に示すように、長期的な対応ができていない。
(4)東電は、2012年12月に1回目の、翌年5月に2回目の地下水の分析を実施した。ここでようやく国は、地下水汚染を認識した。
この問題に関して規制庁担当者は、「通常であれば定期的に出ているデータは東電に問い合わせるが、今回そういうことが行われたかは把握していない」と延べ、計測しなかった理由は不明である、とした。
東電が地下水分析をしたのは、港湾内の放射線濃度が下がらない原因を調査するためだった。にもかかわらず、国の確認が後手に回っていたのだ。
(5)資源エネルギー庁や原子力規制庁の体制も問題になった。
福島第一原発事故の収束作業を担当する職員は、幹部も含めて資源エネルギー庁が15人、原子力規制庁が約40人(2人の規制委員会委員を含む)のみ。
しかし、一方で、規制庁は再稼働の適合審査のために約80人を投入している。
事故収束作業への対応もできていない中で、再稼働の審査に多くの職員を投入するのはおかしい、まずは汚染水問題に集中すべきではないか・・・・そう言う疑問の声が市民団体側から相次いだ。
(6)汚染水対策の経緯が不透明なことも、俎上に載せられた。
資源エネルギー庁と原子力規制委員会は、それぞれ汚染水対策の専門委員会、ワーキンググループを設置している。
規制庁は会議を全面公開している。
ところが、資源エネルギー庁は会議も議事録も非公開の立場だ。
<例>汚染水対策として注目された凍土方式の陸側遮水壁という方法は、資源エネルギー庁の「汚染水処理対策委員会」(非公開)で、ゼネコン数社がプレゼンした方法の中から決定された。これも議事録が公開されていない。
(7)8月7日の会見で、菅義偉・官房長官は、経済産業省が汚染水対策に税金を投入することを検討中、と述べた。
しかし、陸側遮水壁を含めて汚染水対策のコストは明らかにされていない。
□木野龍逸(ジャーナリスト)「再稼働よりも汚染水対策を! 責任不明確な福一原発の事故処理体制」(「週刊金曜日」2013年8月23日号)
【参考】
「【原発】「汚染水」の本当の深刻さ ~東電のコストカットが一因~」
「【政治】安倍“異次元”政権の思想と行動 ~「馬脚をあらわす」兆候~」
「【原発】安部政権の演出と狙い ~高濃度汚染水の海洋流出~」
「【原発】福島第一原発で汚染水が海洋流出 ~漁民の被害は止まない~」
「【原発】福島第一原発周辺の海水汚染続く ~魚介累から放射性セシウム~」
「【原発】【食】東日本太平洋沖で獲れた魚介類8体からセシウム検出」
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(2)8月8日、参議院議員会館で、緊急集会と政治交渉「海を汚さないで! 再稼働よりも放射能汚染対策に注力を!」が開催された。
主催は、環境NGOのFoE Japan、市民団体の福島老朽原発を考える会など10団体。
政府側からは、資源エネルギー庁、原子力規制庁、環境省、外務省が出席した。
資源エネルギー庁と原子力規制庁はそれぞれ事故に対応している。資源エネルギー庁は収束作業の方法などを東電とともに決定する監督者の立場、原子力規制庁は安全確保や規制への適合を監視する立場だ。
では、今後汚染水の流出を止められなかった場合、どちらが責任者になるのか。管轄はどうなっているのか。
集会でこう質問されると、担当者たちは顔を見合わせてしまった。会場がどよめく中、資源エネルギー庁の担当者が、「申し訳ない。明確に答えられない」と謝った。
(3)原発事故の収束作業は内容が多岐にわたり、縦割り行政の中では対処が難しい。そのため、事故直後には「超法規的措置」的な統合対策室を設置し、政府が東電の監視を強化した。
しかし、収束宣言(2011年12月16日)により統合対策本部は解散。
後継組織として、中長期対策会議(現・廃炉対策推進会議)を置いた。しかし、事務局を担当する資源エネルギー庁の責任者が半年から1年で異動していることが端的に示すように、長期的な対応ができていない。
(4)東電は、2012年12月に1回目の、翌年5月に2回目の地下水の分析を実施した。ここでようやく国は、地下水汚染を認識した。
この問題に関して規制庁担当者は、「通常であれば定期的に出ているデータは東電に問い合わせるが、今回そういうことが行われたかは把握していない」と延べ、計測しなかった理由は不明である、とした。
東電が地下水分析をしたのは、港湾内の放射線濃度が下がらない原因を調査するためだった。にもかかわらず、国の確認が後手に回っていたのだ。
(5)資源エネルギー庁や原子力規制庁の体制も問題になった。
福島第一原発事故の収束作業を担当する職員は、幹部も含めて資源エネルギー庁が15人、原子力規制庁が約40人(2人の規制委員会委員を含む)のみ。
しかし、一方で、規制庁は再稼働の適合審査のために約80人を投入している。
事故収束作業への対応もできていない中で、再稼働の審査に多くの職員を投入するのはおかしい、まずは汚染水問題に集中すべきではないか・・・・そう言う疑問の声が市民団体側から相次いだ。
(6)汚染水対策の経緯が不透明なことも、俎上に載せられた。
資源エネルギー庁と原子力規制委員会は、それぞれ汚染水対策の専門委員会、ワーキンググループを設置している。
規制庁は会議を全面公開している。
ところが、資源エネルギー庁は会議も議事録も非公開の立場だ。
<例>汚染水対策として注目された凍土方式の陸側遮水壁という方法は、資源エネルギー庁の「汚染水処理対策委員会」(非公開)で、ゼネコン数社がプレゼンした方法の中から決定された。これも議事録が公開されていない。
(7)8月7日の会見で、菅義偉・官房長官は、経済産業省が汚染水対策に税金を投入することを検討中、と述べた。
しかし、陸側遮水壁を含めて汚染水対策のコストは明らかにされていない。
□木野龍逸(ジャーナリスト)「再稼働よりも汚染水対策を! 責任不明確な福一原発の事故処理体制」(「週刊金曜日」2013年8月23日号)
【参考】
「【原発】「汚染水」の本当の深刻さ ~東電のコストカットが一因~」
「【政治】安倍“異次元”政権の思想と行動 ~「馬脚をあらわす」兆候~」
「【原発】安部政権の演出と狙い ~高濃度汚染水の海洋流出~」
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「【原発】福島第一原発周辺の海水汚染続く ~魚介累から放射性セシウム~」
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