魂とは肉体を拒絶するなにかである。たとえば、からだが震えているとき、逃げるのを拒絶するなにか。からだがいらだっているとき、殴るのを拒絶するなにか。からだが渇いているとき、飲むのを拒絶するなにか。からだが欲しているとき、食べるのを拒絶するなにか。からだが嫌がっているとき、諦めるのを拒絶するなにか。これらの拒絶は人間の営為である。まったき拒絶は聖性である。従う前に吟味すること、それは知恵である。この拒絶する力、それが魂である。狂人はどんな拒絶する力も持たない。彼はもはや魂を持たない。彼は意識を持たないとも言われているが、それは本当だ。殴ることでも逃げることでも、ただ話すことでも、まったくからだの言いなりになっている者は、自分がなにをしているのか、なにを言っているのか、もはやわからない。ひとが意識するのは、自己が自己に対立することによってのみなのだ。例。アレクサンドロスは砂漠を横切っているとき、水のいっぱい入ったかぶとをもらうと、感謝し、そして全軍の前で地面に流している。度量の大きいこと。魂とは、すなわち大いなる魂。卑しい魂などは存在しない。それはただ、魂を欠いているだけだ。この美しい言葉は一つの存在を示すものではまったくない。それはいつも一つの行為を示している。
□アラン(神谷幹夫・訳)『定義集』(岩波文庫、2003)
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【参考】
「アラン】宿命 Fatalité ~『定義集』~」
「【アラン】運命 Destin ~『定義集』~」
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