(1)最近の安部政権は、胸を張って堂々と嘘八百のロジックを述べ立てる傾向が強まっている。テーマはさまざまだが、安部政権が騙すテクニックには、いつも人々を恐怖に陥れる脅しの手口が組み込まれている。
加えて、マスコミをも錯覚に陥れる周到な演出が用意されている。
その結果、人々は自分たちのためなのだ、と誤信して、間違った政策を承認する。時には、自らそれを求めたりもする。
(2)(1)の典型的な例は、東京電力福島第一原子力発電所の高濃度汚染水の海洋流出問題への対応だ。
8月7日、安倍総理は胸を張って堂々と述べ立てた。「東京電力に任せるのではなく、国としてしっかりと対策を講じていく」【注】
安倍政権は、国民をどうやって騙しているのか。
実は、伏線として、政府による「危機」の演出があった。
汚染水が海洋に流出していることは前から分かっていたのに、政府はそれを参議院選挙の前には伏せて、選挙が終わってから「汚染水大量流出」という形で公表した。
「天下の一大事」ということで、マスコミは「政府が前に出ろ!」と大合唱した。
安部総理はそれを利用し、「前に出る」と述べたのだ。
真の狙いはしかし、国費の投入だ。8月末の予算要求締め切り前に、その方針を確定したかったのだ。
(3)マスコミは安倍総理の真の狙いを理解していない。無邪気に、「遅すぎた」と論評しただけで、政府の方針を認めてしまった。政府の演出にハメられた。
(4)そもそも、東電は事実上破綻している。破綻企業の責任負担の大原則からして、安倍総理が述べたことは理不尽の極みだ。
(a)責任を負うべき東電の経営者が責任をとっていない。本来、全員クビのはずだ。
(b)株主。株式は100%減資で、紙切れにすべきだ。
(c)銀行からの借金(社債を除く4兆円)はは、大半をカットすべきだ。にもかかわらず、現実は、国から東電への出資や融資のかなりの部分が、銀行への借金返済に充てられている。
(5)本来は、これらの者が責任をとった後で、なお不足すれば、電力需要者に料金値上げで、さらに一般国民に税金で負担を要請する・・・・というのが正しい順序だ。
政府はしかし、今(4)-(a)~(c)の責任者を飛ばして、本来責任のない消費者・国民にいきなり負担を求めている。
(6)政府は、自らを正当化するために、脅しとすり替えのレトリックを連発して、マスコミを騙している。
(a)国は「東電は破綻していない」と言い張る。・・・・しかし、東電は事故処理の費用が払えない。払うべきものを払えないのを破綻という。だから、国の論理こそ「破綻」している。ここで出てくる国の理屈が、「破綻すると事故処理ができなくなる」という脅しだ。しかし、破綻させてもさせなくても、不足分を国が負担して東電が事故処理するのは同じだ。
(b)次の脅し。「破綻させると、国は1兆円の出資を失い、国民が村をする」・・・・1年前の政府による東電への1兆円出資のことだが、破綻処理すれば銀行債権4兆円弱はほとんど棒引きにできる。1兆円の出資を失っても、差し引き3兆円近く国民負担が減る。
(c)三つ目の脅し。「被災者の債権もカットされて賠償ができない」・・・・それは、別途国が負担する仕組みを作れば済む。純粋に被災者のためなら、国民も納得する。いまは、国民の税金で銀行の借金返済が行われている。
(d)脅しはまだ続く。「破綻させると、銀行が追加融資をしないから、事務処理ができなくなる」・・・・これも嘘だ。支払い能力がない東電に銀行が貸しているのは、将来、税金か料金で穴埋めすることが前提になっているからだ。それなら、国が保証してやれば同じことだ。
(7)東電を破綻させれば、国民は3兆円弱も得をする。今こそ、破綻処理を決断すべきときだ。
【注】その舌の根も乾かぬうちに、8月20日、東電による発表があった。福島第一原発の敷地内のタンクから高濃度の放射能汚染水が300トン漏れた、と。漏れた汚染水の大部分は地中にしみ込んだ。 【記事「福島第一の高濃度汚染水漏れ、推計300トン 東電発表」【(朝日新聞デジタル2013年8月20日け)】
□古賀茂明「東電を今こそ破綻処理せよ ~官々愕々第75回~」(「週刊現代」2013年8月31日号)
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加えて、マスコミをも錯覚に陥れる周到な演出が用意されている。
その結果、人々は自分たちのためなのだ、と誤信して、間違った政策を承認する。時には、自らそれを求めたりもする。
(2)(1)の典型的な例は、東京電力福島第一原子力発電所の高濃度汚染水の海洋流出問題への対応だ。
8月7日、安倍総理は胸を張って堂々と述べ立てた。「東京電力に任せるのではなく、国としてしっかりと対策を講じていく」【注】
安倍政権は、国民をどうやって騙しているのか。
実は、伏線として、政府による「危機」の演出があった。
汚染水が海洋に流出していることは前から分かっていたのに、政府はそれを参議院選挙の前には伏せて、選挙が終わってから「汚染水大量流出」という形で公表した。
「天下の一大事」ということで、マスコミは「政府が前に出ろ!」と大合唱した。
安部総理はそれを利用し、「前に出る」と述べたのだ。
真の狙いはしかし、国費の投入だ。8月末の予算要求締め切り前に、その方針を確定したかったのだ。
(3)マスコミは安倍総理の真の狙いを理解していない。無邪気に、「遅すぎた」と論評しただけで、政府の方針を認めてしまった。政府の演出にハメられた。
(4)そもそも、東電は事実上破綻している。破綻企業の責任負担の大原則からして、安倍総理が述べたことは理不尽の極みだ。
(a)責任を負うべき東電の経営者が責任をとっていない。本来、全員クビのはずだ。
(b)株主。株式は100%減資で、紙切れにすべきだ。
(c)銀行からの借金(社債を除く4兆円)はは、大半をカットすべきだ。にもかかわらず、現実は、国から東電への出資や融資のかなりの部分が、銀行への借金返済に充てられている。
(5)本来は、これらの者が責任をとった後で、なお不足すれば、電力需要者に料金値上げで、さらに一般国民に税金で負担を要請する・・・・というのが正しい順序だ。
政府はしかし、今(4)-(a)~(c)の責任者を飛ばして、本来責任のない消費者・国民にいきなり負担を求めている。
(6)政府は、自らを正当化するために、脅しとすり替えのレトリックを連発して、マスコミを騙している。
(a)国は「東電は破綻していない」と言い張る。・・・・しかし、東電は事故処理の費用が払えない。払うべきものを払えないのを破綻という。だから、国の論理こそ「破綻」している。ここで出てくる国の理屈が、「破綻すると事故処理ができなくなる」という脅しだ。しかし、破綻させてもさせなくても、不足分を国が負担して東電が事故処理するのは同じだ。
(b)次の脅し。「破綻させると、国は1兆円の出資を失い、国民が村をする」・・・・1年前の政府による東電への1兆円出資のことだが、破綻処理すれば銀行債権4兆円弱はほとんど棒引きにできる。1兆円の出資を失っても、差し引き3兆円近く国民負担が減る。
(c)三つ目の脅し。「被災者の債権もカットされて賠償ができない」・・・・それは、別途国が負担する仕組みを作れば済む。純粋に被災者のためなら、国民も納得する。いまは、国民の税金で銀行の借金返済が行われている。
(d)脅しはまだ続く。「破綻させると、銀行が追加融資をしないから、事務処理ができなくなる」・・・・これも嘘だ。支払い能力がない東電に銀行が貸しているのは、将来、税金か料金で穴埋めすることが前提になっているからだ。それなら、国が保証してやれば同じことだ。
(7)東電を破綻させれば、国民は3兆円弱も得をする。今こそ、破綻処理を決断すべきときだ。
【注】その舌の根も乾かぬうちに、8月20日、東電による発表があった。福島第一原発の敷地内のタンクから高濃度の放射能汚染水が300トン漏れた、と。漏れた汚染水の大部分は地中にしみ込んだ。 【記事「福島第一の高濃度汚染水漏れ、推計300トン 東電発表」【(朝日新聞デジタル2013年8月20日け)】
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