語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【木山捷平】山陰

2016年08月25日 | 小説・戯曲
 古い倉庫を始末し、新しく設置した際、古い倉庫から出てきた本の一。

 短編小説「山陰」は私小説で、「私」は下関から出発し、行きあたりばったりに川棚、湯本、玉造、皆生に一泊する。さらに鳥取県中部の、やや奧へ入ったところに位置する三朝温泉に至る。ラジウムを含む出湯の町である。ここで2泊する日々のほんのちょっとした出来事、住民との淡々たる会話。
 ストーリーはそれだけのことで、ストーリーと呼ぶほどのものではない。旅先の、その土地にすっぽり身を浸し、住民との会話を淡々と書きとめる。飄々と流れていくようであり、肝が据わっているようでもある。この短編小説、エッセイと呼んでもそれで通る文章で、読み流しても一向にさしつかえないのだが、妙に記憶に残る。

□木山捷平「山陰」(『日本文学全集65 ~現代名作集3~』、筑摩書房、1970)
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