(1)ケチャップとは、「野菜などの材料をピューレ状にして調味したソース」を指す。
だが、今やケチャップとはトマトケチャップのことだと理解されているほど、トマトケチャップは人気の調味料だ。ピザやパスタなどには不可欠で、消費世界一は米国だ。日本でも人気は高く、消費トップはポリ容器500g入りを1人当たり年間1.32本消費している奈良県だ【注1】。
(2)トマトケチャップは、完熟したトマトを
→粉砕
→裏ごしして種子や果皮を取り除き、濃縮させてピューレを作る
→食塩、砂糖、食酢、種々の香辛料およびタマネギまたはニンニクなどを入れて調味する
という工程で作られる。
トマトは、次のように定義される【注2】。
(a)濃縮トマトに食塩、香辛料、食酢、砂糖類及びたまねぎ又はにんにくを加えて調味したもので可溶性固形分が25%以上のもの
(b)(a)に酸味料(かんきつ類の果汁を含む。)、調味料(アミノ酸等)、糊料等(たまねぎ及びにんにく以外の農畜水産物並びに着色料を除く。)を加えたもので可溶性固形分が25%以上のもの
(3)だから、トマトケチャップに食塩・砂糖・食酢などが使われるのは当然なのだが、食の安全を考える時に気になるのが、これら原材料の素性だ【注3】。
(a)砂糖と一緒に使われるぶどう糖果糖液糖は、異性化糖と呼ばれる「ぶどう糖と果糖の混合糖」だ。原料はサツマイモ・ジャガイモ・トウモロコシで、現在、日本が輸入している異性化糖の主流原料は安価なコーン・スターチ。砂糖の1.2~1.7倍もの甘みを持ち、「取り扱いや保存が楽、価格が安い」とメーカーにとってはいいことずくめなのだが、
①体内に吸収されやすく、急激な血糖値上昇を引き起こしやすい。
②長期摂取が腹部での体脂肪異常増加やトリグルセリド(肝臓で作られる脂質の一種)を増加させることが指摘されている。
(b)醸造酢も、本来の「醸造=発酵・熟成」という伝統製法で作られた酢であるという確証は何一つない。小麦やトウモロコシなどの穀類で作られた酢でも、醸造アルコールを混ぜて作った酢でも、JAS法の定義ではみんな「醸造酢」だ。純米酢でない限り醸造アルコールが使用されていて、醸造アルコールの主原料であるサトウキビの搾りかすは、多量に摂取すると、脳の麻痺や中毒性が指摘されている。
(c)原材料であるトマトは、日本でもトマトケチャップの生産に輸入トマトペーストやトマトピューレを多く使用している。ここで問題なのは、輸入ペーストなどに含まれる添加物だ。日持ちをよくするため塩化カリウム(ソルビン酸カリウム)が使用されていると言われているが、仮に使用され残留していたとしても製造会社には表示義務がない。また、とまと栽培時のホルモン剤「トマトトーン」についても、今なお使用疑惑は払拭されていない。
(d)甘味に使われる異性化糖の原材料コーン・スターチや醸造酢の原材料に使われる小麦やコーンは9割が米国からの輸入穀物。遺伝子組み換え大国からの輸入穀物がノンGMO(非遺伝子組み換え)とはとうてい考えられない。輸入に頼る食品で生産される加工食品の安全性を考える時、消費者がその「素性」を正確に知ることは困難だ。
(4)トマトの赤い色は「リコピン」というファイトケミカルだ。高い抗酸力が活性酸素を除去し、老化や病気予防に働く。加熱すると含有量が増加するため、トマトケチャップやトマトピューレは本来優れた健康食品なのだ。
しかし、原材料の素性が不確かなトマトケチャップは、遺憾ながら、食べても健康に必ずしもつながらないのだ。
【注1】「地域の入れ物」
「地域の入れ物」
【注2】「トマト加工品品質表示基準」(最終改正 平成23年9月30日消費者庁告示第 10号)
「トマト加工品品質表示基準」
【注3】市販のトマトケチャップの原材料
<例1>カゴメ「カゴメトマトケチャップ」・・・・トマト、糖類(砂糖、ぶどう糖果糖液糖)、醸造酢、食塩、たまねぎ、香辛料
<例2>キッコーマン食品「デルモンテ トマトケチャップ リコピンリッチ」・・・・ トマト、糖類(ぶどう糖果糖液糖、砂糖)、醸造酢、食塩、たまねぎ、でん粉、香辛料
□沢木みずほ(薬食フードライフ研究家)「トマトケチャップは添加物と無縁だ--と思っているアナタへ」(「週刊金曜日」2016年6月10日号)
↓クリック、プリーズ。↓
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だが、今やケチャップとはトマトケチャップのことだと理解されているほど、トマトケチャップは人気の調味料だ。ピザやパスタなどには不可欠で、消費世界一は米国だ。日本でも人気は高く、消費トップはポリ容器500g入りを1人当たり年間1.32本消費している奈良県だ【注1】。
(2)トマトケチャップは、完熟したトマトを
→粉砕
→裏ごしして種子や果皮を取り除き、濃縮させてピューレを作る
→食塩、砂糖、食酢、種々の香辛料およびタマネギまたはニンニクなどを入れて調味する
という工程で作られる。
トマトは、次のように定義される【注2】。
(a)濃縮トマトに食塩、香辛料、食酢、砂糖類及びたまねぎ又はにんにくを加えて調味したもので可溶性固形分が25%以上のもの
(b)(a)に酸味料(かんきつ類の果汁を含む。)、調味料(アミノ酸等)、糊料等(たまねぎ及びにんにく以外の農畜水産物並びに着色料を除く。)を加えたもので可溶性固形分が25%以上のもの
(3)だから、トマトケチャップに食塩・砂糖・食酢などが使われるのは当然なのだが、食の安全を考える時に気になるのが、これら原材料の素性だ【注3】。
(a)砂糖と一緒に使われるぶどう糖果糖液糖は、異性化糖と呼ばれる「ぶどう糖と果糖の混合糖」だ。原料はサツマイモ・ジャガイモ・トウモロコシで、現在、日本が輸入している異性化糖の主流原料は安価なコーン・スターチ。砂糖の1.2~1.7倍もの甘みを持ち、「取り扱いや保存が楽、価格が安い」とメーカーにとってはいいことずくめなのだが、
①体内に吸収されやすく、急激な血糖値上昇を引き起こしやすい。
②長期摂取が腹部での体脂肪異常増加やトリグルセリド(肝臓で作られる脂質の一種)を増加させることが指摘されている。
(b)醸造酢も、本来の「醸造=発酵・熟成」という伝統製法で作られた酢であるという確証は何一つない。小麦やトウモロコシなどの穀類で作られた酢でも、醸造アルコールを混ぜて作った酢でも、JAS法の定義ではみんな「醸造酢」だ。純米酢でない限り醸造アルコールが使用されていて、醸造アルコールの主原料であるサトウキビの搾りかすは、多量に摂取すると、脳の麻痺や中毒性が指摘されている。
(c)原材料であるトマトは、日本でもトマトケチャップの生産に輸入トマトペーストやトマトピューレを多く使用している。ここで問題なのは、輸入ペーストなどに含まれる添加物だ。日持ちをよくするため塩化カリウム(ソルビン酸カリウム)が使用されていると言われているが、仮に使用され残留していたとしても製造会社には表示義務がない。また、とまと栽培時のホルモン剤「トマトトーン」についても、今なお使用疑惑は払拭されていない。
(d)甘味に使われる異性化糖の原材料コーン・スターチや醸造酢の原材料に使われる小麦やコーンは9割が米国からの輸入穀物。遺伝子組み換え大国からの輸入穀物がノンGMO(非遺伝子組み換え)とはとうてい考えられない。輸入に頼る食品で生産される加工食品の安全性を考える時、消費者がその「素性」を正確に知ることは困難だ。
(4)トマトの赤い色は「リコピン」というファイトケミカルだ。高い抗酸力が活性酸素を除去し、老化や病気予防に働く。加熱すると含有量が増加するため、トマトケチャップやトマトピューレは本来優れた健康食品なのだ。
しかし、原材料の素性が不確かなトマトケチャップは、遺憾ながら、食べても健康に必ずしもつながらないのだ。
【注1】「地域の入れ物」
「地域の入れ物」
【注2】「トマト加工品品質表示基準」(最終改正 平成23年9月30日消費者庁告示第 10号)
「トマト加工品品質表示基準」
【注3】市販のトマトケチャップの原材料
<例1>カゴメ「カゴメトマトケチャップ」・・・・トマト、糖類(砂糖、ぶどう糖果糖液糖)、醸造酢、食塩、たまねぎ、香辛料
<例2>キッコーマン食品「デルモンテ トマトケチャップ リコピンリッチ」・・・・ トマト、糖類(ぶどう糖果糖液糖、砂糖)、醸造酢、食塩、たまねぎ、でん粉、香辛料
□沢木みずほ(薬食フードライフ研究家)「トマトケチャップは添加物と無縁だ--と思っているアナタへ」(「週刊金曜日」2016年6月10日号)
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訴えられるとか(笑)