(1)多忙な共働き家庭の定番メニュー「野菜炒め」に発癌性がある?
2016年2月、内閣府食品安全委員会の発表にギョッとした人も多いだろう。問題になっているのは、野菜などを高温で加熱調理したときに発生する「アクリルアミド」だ。
アクリルアミドについては、これまでJARCなどが「人に対しておそらく発癌性がある」と指摘してきた。
今回食品安全委員会は、日本人のアクリルアミドの平均摂取量を割り出し、発癌性のリスクを評価した。その結果、
日本人の摂取量は海外と比べて「同じか少ない程度」で、リスクは極めて低いものの、
「懸念がないとは言えない」
と結論づけた。
(2)アクリルアミドはスナック菓子、パン類、コーヒー、お茶などにも含まれるが、日本人のアクリルアミド摂取の56%を占めるのは高温調理した野菜。
むろん、野菜はビタミンやミネラルが豊富で癌の予防効果もあると言われているので、アクリルアミドが出るから摂らないというのはナンセンス。食材の準備段階と調理法の工夫で、極力アクリルアミドが生成されないようにすればよい。
(3)アクリルアミドは、炭水化物を含む食品を120度以上の高温で調理した際、アミノ酸の一種であるアスパラギンが、ブドウ糖、果糖などの還元糖と反応してできる。ポイントとなるのは120度という温度だ。似る、蒸す、ゆでる、といった水を使う調理法なら、食材の温度は120度を超えることはないため、アクリルアミドはできにくい。
揚げる、炒める場合は、還元糖とアスパラギンを準備段階で減らすこと。
揚げ物の場合、加熱時間は短めが基本だ。フライドポテトは軽く色がつく程度が目安。天ぷらやフライの場合は、具の部分に水分が残っている限りアクリルアミドはほとんど生成しないので、神経質になる必要は無い。
市販のフライドポテトなどのアクリルアミド濃度も、販売業者の努力で減っている。2013年度は2006,2007年度に比べて4割以上減少していた【農林水産省の調査】。
カリカリに揚げたり、高温で炒めたりした野菜はおいしいが、風味を損なわずにリスクを減らす方法は覚えておいたほうがいい。
(4)炒める、揚げる場合のアクリルアミド低減策のポイント(農林水産省まとめ)
(a)じゃがいもは常温保存・・・・長時間冷蔵庫で保存するとアクリルアミド生成の原因となる還元糖が増加する。
(b)いも類や野菜類は切ったあと水にさらす・・・・いもや野菜の表面から還元糖やアスパラギンを落とす効果がある。
(c)炒める時はよくかき混ぜる・・・・120度以上の高温調理が危険。よく混ぜることで高温化が防げる。
(d)炒めたあと、蒸し煮にするとよい・・・・水分があると高温化を防ぐことができる。
(e)揚げる時は短時間で、色は薄めに・・・・高温で長時間になるほどリスク大。具の中の水分を飛ばさない。
□石臥薫子・柳堀栄子(編集部)「野菜は水にさらし炒めるより蒸す ~食べていい・悪いの境界線~」(「AERA」2016年7月25日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【食】毎日ハム5枚は多すぎ、気にすべきは量 ~亜硝酸ナトリウム~」
2016年2月、内閣府食品安全委員会の発表にギョッとした人も多いだろう。問題になっているのは、野菜などを高温で加熱調理したときに発生する「アクリルアミド」だ。
アクリルアミドについては、これまでJARCなどが「人に対しておそらく発癌性がある」と指摘してきた。
今回食品安全委員会は、日本人のアクリルアミドの平均摂取量を割り出し、発癌性のリスクを評価した。その結果、
日本人の摂取量は海外と比べて「同じか少ない程度」で、リスクは極めて低いものの、
「懸念がないとは言えない」
と結論づけた。
(2)アクリルアミドはスナック菓子、パン類、コーヒー、お茶などにも含まれるが、日本人のアクリルアミド摂取の56%を占めるのは高温調理した野菜。
むろん、野菜はビタミンやミネラルが豊富で癌の予防効果もあると言われているので、アクリルアミドが出るから摂らないというのはナンセンス。食材の準備段階と調理法の工夫で、極力アクリルアミドが生成されないようにすればよい。
(3)アクリルアミドは、炭水化物を含む食品を120度以上の高温で調理した際、アミノ酸の一種であるアスパラギンが、ブドウ糖、果糖などの還元糖と反応してできる。ポイントとなるのは120度という温度だ。似る、蒸す、ゆでる、といった水を使う調理法なら、食材の温度は120度を超えることはないため、アクリルアミドはできにくい。
揚げる、炒める場合は、還元糖とアスパラギンを準備段階で減らすこと。
揚げ物の場合、加熱時間は短めが基本だ。フライドポテトは軽く色がつく程度が目安。天ぷらやフライの場合は、具の部分に水分が残っている限りアクリルアミドはほとんど生成しないので、神経質になる必要は無い。
市販のフライドポテトなどのアクリルアミド濃度も、販売業者の努力で減っている。2013年度は2006,2007年度に比べて4割以上減少していた【農林水産省の調査】。
カリカリに揚げたり、高温で炒めたりした野菜はおいしいが、風味を損なわずにリスクを減らす方法は覚えておいたほうがいい。
(4)炒める、揚げる場合のアクリルアミド低減策のポイント(農林水産省まとめ)
(a)じゃがいもは常温保存・・・・長時間冷蔵庫で保存するとアクリルアミド生成の原因となる還元糖が増加する。
(b)いも類や野菜類は切ったあと水にさらす・・・・いもや野菜の表面から還元糖やアスパラギンを落とす効果がある。
(c)炒める時はよくかき混ぜる・・・・120度以上の高温調理が危険。よく混ぜることで高温化が防げる。
(d)炒めたあと、蒸し煮にするとよい・・・・水分があると高温化を防ぐことができる。
(e)揚げる時は短時間で、色は薄めに・・・・高温で長時間になるほどリスク大。具の中の水分を飛ばさない。
□石臥薫子・柳堀栄子(編集部)「野菜は水にさらし炒めるより蒸す ~食べていい・悪いの境界線~」(「AERA」2016年7月25日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【食】毎日ハム5枚は多すぎ、気にすべきは量 ~亜硝酸ナトリウム~」