『原子炉 時限爆弾 ~大地震におびえる日本列島~』広瀬隆著。
ページが進むにつれ、次第に戦慄を覚えた。
こんな読書経験は、初めてだ。
それだけ、この本の内容は真実性があり予言、的中の説得力を持っていた。
著者、広瀬隆氏は68歳。
「私にとって冥土の土産にこのまま沈黙を保っていればすむことである。たとえば、である。幼稚園の庭に大きな時限爆弾が仕掛けらていることを知ってしまってその場を立ち去ることはできない。・・孫を見ればこの子たちの将来を決して奪ってはいけないという熱い思いが胸を刺す」
「原発震災」は地震学者、石橋克彦氏が使った言葉。同氏は東海地震は「明日起きても不思議ではない」と述べている。
その3段論法は
(1)原発の大事故は起こり得る。
(2)大事故が起これば日本はほぼ壊滅する
(3)その可能性の原因は大地震
「天災は忘れたころにやってくる」(寺田寅彦=漱石門下の文人、物理学者)
著者広瀬氏は、メーカー技術者からノンフィクション作家に転じて30年、原発事故が起こす可能性が高いことを警鐘を鳴らしてきた。チェルノブイリ後に発行した『危険な話』はベストセラーに。最近では石橋克彦と同じように東海地震が予想される浜岡原発(静岡県御前崎市)の危険性を強く訴えている。もちろん老朽化の進んだ福島原発も例外ではなかった。
「救うのはあなただ!」と叫んで結んだ本書は2010年8月6日にペンを置く。
『まだ、まにあうのなら』の甘蔗珠恵子さんといい、広瀬隆氏といい先駆的な原発警鐘者の意見に耳を貸さなかったことは、なんとも残念無念としか言いようがない。
【写真】広瀬隆さん(社会新報4/6号)
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