福岡県と佐賀県を結ぶ国道385号線にバイパス道路ができる。その名も「南畑バイパス」。今月25日の西日本新聞が報じていた。それによると、8月下旬、那珂川市の武末市長や地元住民による「南畑バイパス道路建設促進期成会」が発足し、今月25日に建設予定地周辺の住民に対し説明会が開かれるというものだった。記事にバイパス区間が記されていたので、現調を兼ねて久しぶりに五ケ山へ行ってみることにした。(五ケ山ダムや五ケ山クロスの近況報告は次項で)
帰宅後、福岡県のホームページを調べると、令和2年度の新規事業として「南畑バイパス」の内容が公表されていた。県土整備部の資料によると、「南畑バイパス」は、福岡市水道局取水場北側付近(那珂川市大字市ノ瀬)から南畑ダム(那珂川市大字五ケ山)までの2.8キロ。事業費は76億6千万円、完成予定は令和11年度となっていた。バイパス建設に関しては、昨年、那珂川市から要望書が、また平成25年から継続して、福岡都市圏行政推進協議会などから提言書が県に提出されていた。どうやら周辺自治体にとって長年の懸案だったようだ。那珂川市の武末市長も9月議会の所信表明でそのように述べている。(私は初耳だったが)
事業の必要性として、まず、事業区間の現道は、山間部で幅員が狭い上、カーブも多いため交通事故が多発していること。また、緊急輸送道路(九州道代替ルート)にも関わらず、近年の集中豪雨による土砂災害でたびたび交通規制が発生していることなどが挙げられていた。バイパスが整備されることで、安全で円滑な交通が確保され、緊急輸送道路の機能が強化される。さらに、那珂川市が五ケ山ダムの周辺で展開しているアウトドアを中心とした観光振興にも寄与するとしている。いずれにしても、五ケ山ダム建設以来の大工事となる。
工事期間は9年となっているが、もしかするとそれ以上かかるのではないだろうか。まだ図面が公開されていないので、どういうルートになるはかわからないが、現場は那珂川上流域で、筑紫耶馬渓(釣垂峡)と呼ばれる山間部である。県土整備部の資料にも書かれているが、平成21年の九州北部豪雨では、このあたりで大規模な法面崩壊が発生している。工事は危険と隣り合わせな状況で難工事も予想される。長年、着手できなかったのはこうした理由もあるのではないだろうか。何はともあれ、かつて伊能忠敬が測量した「肥前・筑前街道」は、200年以上の時を超えて新たな歴史を刻むことになる。
国道385号線を辿る(撮影日:2020.9.29)
バイパス終点あたり(福岡市水道局南畑取水場北側) ※現調の起点
福岡市水道局南畑取水場
福岡市南畑取水ダム ここから水は高宮浄水場(南区)と夫婦石浄水場(早良区)へと送られる
那珂川上流域のはじまり このあたりから登りが続く
登り詰めたところ ほぼ直角に右折、橋(写真左)を渡りトンネルへと続く もしかして新たなルートはここを直進する?
このあたりは筑紫耶馬渓の絶景スポット(南畑公園近く) もしかしてバイパスから一望できるようになる?
※ちなみに昔は「釣垂峡」といっていたが、大分県の耶馬渓と対比して「筑紫耶馬渓」と呼ばれるようになった
トンネルを抜けてから南畑ダムまではカーブが続く
バイパス起点となる南畑ダム(写真左) ※現調の終点
南畑バイパス区間(福岡県資料より)
起点から終点まで2.8kmの所要時間は6分、 バイパスだと3分になるらしい
《関連記事》
・国道385号バイパス始動 那珂川市山間部 県が測量調査へ(西日本新聞 2020.9.25)
《関連資料》
・福岡県HP。令和2年度新規事業着手箇所について(県土整備部)(2020.9.28更新)