福岡県も大変なことになっていた。7日午前5時半頃、県の河川カメラを見ると、久留米市を流れるいくつもの川で氾濫が発生していた。この時、山口に居たので状況がわからなかったが、国交省のデータを見ると、久留米市では、6日正午すぎから1時間の雨量が30ミリを超える大雨に見舞われていた。筑後川支流の下弓削川(久留米市東合川)や山ノ井川(久留米市城島町)では、6日午後2時頃、氾濫危険水位を超え、水位は徐々に上昇。夕方にはすでに氾濫していた。これは雨水が筑後川の本流にはけずに溢れる「内水氾濫」によるもので、このところ毎年のように起きている。特に、今回は筑後川上流の雨量が多く、本流(片ノ瀬観測所)でも氾濫危険水位を超えたため、支流でのポンプによる排水が進まなかったようだ。
大牟田市でも冠水が相次いだ。国交省のデータを見ると、大牟田総合庁舎観測所では、6日午後4時台1時間雨量は95ミリと猛烈な雨に見舞われていた。その直後、午後4時半、気象庁は、大牟田市と八女市、みやま市、広川町に大雨特別警報を発表した。ところが、報道では、福岡・佐賀・長崎県に大雨特別警報と伝えるだけだった。ここは正確に伝えなくてはならないところだろう。一つの情報で救える命もある。大牟田市では、6日午前7時からの24時間雨量が久留米市よりも多い500ミリ超だった。結果、大規模な冠水により2人の方が亡くなっている。
と、ふりかえっている場合ではない。今夜から明日にかけて、ふたたび活発な梅雨前線が対馬海峡から九州北部地方へ南下する見込みで、九州北部や中国地方では非常に激しい雨が降るおそれがあるという。こうなると気になるのが、五ケ山ダムだ。県のデータを見ると、4日に約404mだった水位は、一時(11日)、常時満水位を3m超えて約410mまで上昇していた。現在は408.5mまで下がっているが、洪水時満水位までおよそ4m。今夜からの雨の降り方次第では緊急放流もありうるのでは。「想定外」という想定は、もはや通用しない。今のうちに避難の準備をしておく必要がありそうだ。
《2020.7.14更新》
心配していた五ケ山ダムだが、水位に変化はない。ダム周辺の雨量を見ると、午前1時から2時までの2時間で約40ミリ程降っているが、その後は大して降っていない。一先ず、救われた。これで梅雨も終わるだろうと思いきや、そうはいかないようだ。いったん南へ下がった梅雨前線がふたたび金曜から週末にかけて北上するという。今週末までは気が抜けそうもない。
・週間 梅雨前線 いったん南へ離れるが 金曜日から再び北上(tenki.jp 2020.7.14)
福岡県河川防災情報 河川ライブ画像より ( )はキャプチャー時間
【久留米市】
下弓削川 6日午後5時頃から氾濫がはじまっていた(7日午前5時半頃)
山ノ井川城島大橋 (7日午前6時頃)
山ノ井川の水門は6日午後11時15分に閉じて以降、8日午後0時半まで開けられず、冠水が長引いた
雨雲の塊が北からやってくる 福岡、北九州地方、山陰地方は要警戒 (tenki.jpより)
五ケ山ダム 7月11日、洪水時最高水位まで約3.8mのところまで上昇していた
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