![]() | 1R(ワンルーム)男~28歳の社長、上場物語アメーバブックスこのアイテムの詳細を見る |
♪ただのサクセスストーリーではない、凄みがある
以前に新聞の書評で評価が高かったため、夏休みの読書用に購入した。20代で不動産会社を起業し、創立から僅か48ヶ月で上場を成し遂げた「青年実業家のサクセスストーリー」だ。そう言うと、よくあるビジネス書の「成功した実業家の半生!」みたいなストーリーを思い描くが、そんな生半可なものではなかった。
筆者は、「現代の若者が、そんな極貧で壮絶な人生を歩むの?」というような凄い人生を歩んできた。小学生の頃に父親の経営する会社が倒産し平成の時代では信じられないような極貧の生活を強いられる。母親は過労と心労が重なり末期がんで死亡。父親は仕事もせずに借金を重ねギャンブルにのめり込み、本人は川崎あたりに屯する不良高校生のリーダーに。父親との確執は刃傷沙汰にまで発展する・・・。まさに小説か映画になりそうな人生だ。それでも一刻も早く稼ぎたくて、受かった大学の入学を辞退し不動産会社の営業マンとして就職する・・・。
母と父と自分の血の繋がりに言及するところなどは、リリーフランキーの「東京タワー」を読んでいるようで、目頭が熱くなる。筆者はまだ28歳、人生のたかが3分の1を生きて来たに過ぎない。でもその辺の20代、いや父さんたちのような倍も人生を重ねてきたオヤジよりも何倍も苦労し、努力し、そして栄光を勝ち取ったことがよく分かる。世の中にはいろいろな人間がいるもんだ。
もちろん彼の人生は、あと3分の2も残っている。これがゴールではなくて、もっともっといろんなことがこの先に待ち構えているのだろう。でももう何も怖くないに違いない。何もかにも経験してしまったのだから。