呑む気オヤジ/蔵王山麓蓬莱庵便り

訳アリで山暮らしから都会に戻ったオヤジの日記。合唱も映画もドライブも温泉も、たまには俳句も・・・😄

呑む気オヤジの読書感想文・寅の10「悪人」

2010-10-10 | 徒然なるままに
悪人(上) (朝日文庫)
吉田 修一
朝日新聞出版



♪「悪人(上・下)」吉田修一著 朝日文庫

映画化された話題作。
う~~ん、切ない話だなぁ。人生ってなんだろう、愛ってなんだろう、親子って家族ってなんだろう…、いろいろ考えさせられる小説だ。
解体作業員で車にしか興味がない祐一、紳士服売り場の店員で平々凡々と暮らす光代、親元から独立して保険の外交員を務める佳乃、実業家の放蕩息子増尾…。それぞれ親や家族とのしがらみと、その家族も知らない一面も隠し持ちながら生きている。
祐一と光代の、行き場のない愛。娘の自堕落さを突き付けられ、呆然としながらも復讐心を燃やす佳乃の父。孫の罪をしっかり受け止め勇気を漲らせる祐一の祖母。人間の愛は理屈抜きに強くて純粋なのだと思う。
佳乃の父の言葉「あんた、大切な人はおるね?その人の幸せな様子を思うだけで、自分までうれしくなるような人たい。(中略)今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎったい」
大切な人がいない人間が、本当にそんなに多いのだろうか。それはあまりにも寂しい世の中だ。

祐一の、光代に対するの最後の思いやりが、あまりにも切ない。
でも、光代だって、本当は祐一の思いやりに気づいているんだよね?そうじゃなきゃ、あまりにも悲し過ぎる。

久しぶりの5つであります。





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呑む気オヤジの読書感想文・寅の9「砂漠」

2010-10-10 | 本の話
砂漠 (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社


♪「砂漠」伊坂幸太郎著 新潮文庫

伊坂幸太郎の小説は、今まで何冊か読んだし感想文も書いている。
彼は仙台の大学を出て、今でも仙台を拠点にして小説を書いている若手のホープの作家だ。仙台が舞台だし、人気もあるし、オジサンとしては世間の流行りものに乗り遅れたくないというスケベ心もあって読むんだけど、う~ん、やっぱりピンと来ないなぁ。

仙台の大学の法学部に入学した5人の男女の、あれやこれやの青春グラフィティー的物語。自分の学生時代を懐かしく思い出すところもある。もちろん僕とは比べ物にならない凄い経験もあるのだけど、それがすんなり僕の体に入ってこない。
何で超能力?なんでシェパード?なんでプレジデントマン?
いろいろ普通の学生では経験できない事件に巻き込まれたりするんだけど、その割に話が淡々と進んでいって起伏が感じられない。主人公が淡々として常に覚めているからなのかな。
でも最後の卒業式の件(くだり)は、胸の奥が少し暖かくなった。淡々とした中にも『いろいろあったけど、みんな元気でな!これからも社会という砂漠で毎日もがき苦しんで必死に生きていこうな!』みたいなみんなの思いが滲み出ていて、まさに自分の大学卒業の頃を思い出した。

そうなんです、別に伊坂さんが嫌いというわけではありません。合唱団のYさんの娘さんがファンとのこと。Yさんご自身のお勧めの小説や映画もあるので、それは読みたいし観たいと思います。
なんたって僕は、食わず嫌いをしない、何でも食べる雑食オヤジですから!??





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