呑む気オヤジ/蔵王山麓蓬莱庵便り

訳アリで山暮らしから都会に戻ったオヤジの日記。合唱も映画もドライブも温泉も、たまには俳句も・・・😄

呑む気オヤジの観る・聴く・読む!~NHK「クローズアップ現代・男ひとり残されて」

2010-10-11 | 家族のこと

先週のNHK番組「クローズアップ現代」で取り上げたテーマが「男ひとり残されて」
中年以降になって妻に先立たれた夫の葛藤と苦悩にスポットを当てたテーマだった。

俳優の仲代達也氏、国立がんセンター名誉総長の垣添忠生氏が、妻をがんで亡くした後の呆然自失の悲嘆に明け暮れた生活を淡々と語る。
仲代氏「妻を亡くした時は手足をもがれた気がして、何も手に付かなかった。後追いも考えた。仕事をがむしゃらにして、その時は忘れるが、家に帰ってくると待つ人はおらず、寂しさに押しつぶされそうになった」
垣添氏「最初の頃は本当にぼろぼろだった。酒びたりになり生きていても仕方がないと思ったこともあった。酒も食事も美味しくない。ただ酔うために酒を飲む。仕事にもTVや新聞にも興味を失った」

その他にも、妻に先立たれて孤独な生活を強いられる男性の告白が続く。妻の逝った次の日から、食事は作れない、通帳はどこにあるか分からない、家のことも何もできない。毎日ひとりで酒を飲む生活が続く。生きているうちに妻にもっといろいろしてやればよかった。家のことをやればよかった。後悔、後悔、後悔!
あぁ~、みんな同じなんだね。みんな辛いんだね。僕はまだ50代最初で、子供も家にいたし仕事もしていたしで、悲嘆に暮れてばかりはいられなかった。それでもまさに最初の頃は、思わぬところから妻の遺品が出てきたり、近所のスーパーに買い物に行っても仕事中でも、妻のことを思い出して涙が止まらないこともあった。
これで60歳半ばぐらいで、子供も独立して仕事もリタイアしているときに妻を亡くしたら、毎日悲嘆にくれて、家に籠って酒ばかり呑んだくれていたかもしれない。

著書「妻を看とる日」がベストセラーになっている垣添氏は仰る。
「心の中で妻と対話したり、日記や妻とのことを書いたりして自分を表すことは自分を癒す力になる。親しい人を亡くすことは辛いことだが、あらたな人生を生きてい行くきっかけである。そう心がけて生きていくようにしている」
そうなんです、僕も今の合唱と偶然出会ったことはとても幸せで、自分の人生の大きな原動力になっているのだけれど、それとは別に「これも運命。何でも自分でやろう、新しい人生を歩もう」と考えるようにしている。こういう気力がないとしょぼくれてしまう。

ご同輩諸氏、がんの罹患確率は相変わらず高いよ。夫婦のうちどちらかががんで亡くなる確率だって、決して低くはないんです。大体にして男は自分が先に逝くと思い込んでいるところがあるけど、でも違うだよね。
今のうちだよ、妻孝行も家事を覚えるのも。その時になって「あとの祭り」「後悔・懺悔の日々」にならないよう努力すべし! そして、一生の趣味を見つけましょう!!
(まぁ、我が友人たちは、趣味の部分は心配なさそうですけどね)


*今日のような快晴の休日には、ちゃんと洗濯やってます。主夫やってます!!


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呑む気オヤジの観るぞ、聴くぞ!~映画「悪人」

2010-10-11 | 映画(DVD)の話

♪映画「悪人」

観ました、映画「悪人」!
う~~~ん、原作に輪を掛けて切ないなぁ~。
文章を読むとき、自分の頭の中でその場面や風景を想像(妄想)するけど、映画は否が応でも映像として見せつけられる。
もちろん小説のほうが、場面も状況も人物の感情や想いも文字で表現している分、詳細に描かれている。でも映像では、役者がそれらを瞬時に観客に伝えてくるし、人物を包む周りの情景が効果的に映し出される。(でも考えようによっては、小説って文字だけでそういったものを伝え、読者に想像させるんだから凄いね)
実は小説を読んだときはもう映画公開直前だったから、主演の妻夫木クンと深津サンもよくTVなどに出ていたし、映画の予告編なども観ていたので、純粋な意味でまっさらな状態で本を読んだわけではなかった。それでもあれだけ深い感動が得られたんだから、尚更あの二人がどう演じたんだろうという興味が強く湧いていた。

いやぁ~、妻夫木クンも深津サンも良いや、凄いや!
本を読んでいて、妻不木クンはちょっとイメージが違っていた。祐一の役をやるんなら、あの根暗の?山田孝之だろうとずーっと思っていた。でも、豈図らんや!やり場のない閉塞感と鬱屈した毎日を送る青年役を、妻夫木クンは見事に演じた。あの暗く沈む、どこに焦点を合わせているのか分からないような目つきが印象的だ。
深津サンも、変化のない日常を抜け出したくて出会った青年と泥濘の愛に溺れていく平凡な女性店員役を好演。誰でも持つ?心の奥底の暗い欲望や懊悩を曝け出した。モントリオール世界映画祭最終周女優賞受賞も納得だ。
脇役陣も良かったなぁ。
祐一に殺害された軽薄なOL佳乃役の満島ひかり、ボンボン大学生約の岡田将生も好演。そしてなんといっても、佳乃の父親役の柄本明、祐一の祖母役の樹木希林が傑出!
娘が出会い系サイトで知り合った男に殺され、その娘が売春まがいのことをやっていたという噂話が耳に入る。娘を半分疑いながらも、親元から出したこと悔い、娘を置き去りにした大学生を憎む父親。
子供の頃に母親に置き去りにされ、自分が親代わりに育ててきた孫。その孫が殺人を犯した?そんなはずはないと否定しながらも、自分の育て方が悪かったのかと悩み苦しむ祖母。
それぞれの、胸が張り裂けそうな想いを考えると、観ているこちらまで遣る瀬なくなる。
それと主人公を包みこむ周りの風景の撮り方も秀逸だ。長崎の田舎の港町、佐賀の田んぼの中の紳士服店やアパート、そして海に突き出た岬にポツンと佇む鄙びた灯台と毎朝晩に表情を変える海の情景。
李監督の捉える「日本の田舎の原風景」のようなものが、きっちりと取り込まれたのだと思う。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
映画の脚本も、原作者の吉田修一だ。
そのせいか、映画のストーリーも原作の小説とほぼ同じ様に進んでいく。これは先に小説を読んでいても、全く違和感がなく安心して映画を観ることができるということ。
これまで数多の名作小説が映画化され、その中にはどう考えても原作のストーリーをいじり過ぎて逸脱していると感じるものが多かった。今回の映画を観て、やっぱり脚本家は原作のあらすじを尊重すべきと強く感じた。
いや、あくまでも小説は原作であって、映画を作るときは脚本家と監督が別物として構成していくという考えもあるかもしれない。
でも僕は反対だ。原作者もそれを許すべきではないと思います。

ということで、ストーリーは小説とほぼ同じなので、その感想は小説の時と同じです。ただ映画のほうが、最後の祐一の想いがより強く描かれたかな。良かったです!




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